Come into bud
ねえ こうしていっしょにいても
いつか終わりが来るのかな
どうしてそう思うのですか?
だってわたしたちの体はべつべつで
命の長さも違うもの
じゃあこのお話を致しましょう
あるところにとても仲良しな鳥と木がありました
鳥は木を愛していたけれど
新たな地へ向かわねばならない
木は言いました
ではどうかわたしの葉を食べて下さい
実をついばんで下さい
旅立つ貴方の身の内で
わたしの想いは糧となり
とこしえに共にあるでしょう
やがて鳥は遠い地で命を終えた
土に還った体から芽吹く若葉
空と大地を抱いた豊穣の梢に
いつしかあまたの命が集ったと言います
だからなあに よくわかんないよ
想いは繋がる 終わりなどないということ
姫様
たとえばもしいつか貴方が遠くへ出かけて
わたしがどうしてもお供出来ない時
わたしには貴方に捧げる瑞々しい木の葉も
豊かに生った実もないけれど
言葉を伝えましょう 祈りを渡しましょう
離れても色あせない永遠の微笑みを贈りましょう
それが想うということ いつも傍にあるもの
器を失くしても 必ず 必ず貴方を護る
言葉を紡ぐには悔しいが時限がある
だから今伝えるのです 惜しまずに限りなく
愛している いつも いつまでも
旅立つのが貴方であろうとも わたしであろうとも
待つか追いかけるか ほんとうはあまり変わりない
共にあるということに
傍にいるということに
形を失くしても ぬくもりを失くしても
見つめる目を失くしても
触れる手を失くしても
命を失くしても
そこに在るもの 必ず再び芽吹く
愛に
想いに 終わりはないということを
-FIN-