戦士の一献



飲めないはずの酒が、魔法のようにするする進む

後で襲って来る頭痛も目眩も、その時は少しも気にならなかった

「なかなかやるな、クリフト殿」

苦笑混じりの感嘆に、大人に褒められた子供のように浮き立つ心

「今宵はとことん、空が白むまでお付き合い願おうか」

「は……はい!」

「では、もう一献」

かちんとぶつかる杯と杯

瞳を交わして破顔する

眠れない夜も悪くない

時には酒も悪くない

初めてそう思った

傍らの偉大な戦士が、酔うと少しだけ早口になることを知った、或る夜





―FIN―


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