戦士の一献



もしかして、なにかお悩みがおありですか

わたしでお役に立てることがあれば

言いかけて、なぜか恥じ入り口をつぐむ

もはや常套句、自分がしているのは親切の押し売りなのかもしれない

「そうだな、では無体を承知で言うが」

低いテノールが穏やかに告げた

「傍らで、一緒に飲んで下さらぬかな。

騒々しい会話を必要としない飲み仲間が欲しいと、丁度思っていた所だったのだ」

「わ……わたしでいいのですか?」

武骨な顔が微笑む

「無論」
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