戦士の一献


酒場独特の据えた匂い ぎりぎりまで落とされた燭台の明かり

慣れた手つきで杯を傾ける姿に いつもの戦士の謹厳さはない

「もしかして、皆がお休みになられた後よくこうして?」

「さあ、どうであろうな。

ただ年を重ねると、どんなに疲れていても、素面では眠れない夜もあるのだよ」

既に何杯空けたのか 瞼のふちはうっすらと赤く

ひと息で飲み干した葡萄酒の飛沫が 口髭の先で鈍く煌めいた
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