「いﾞっ？！」

「っ、どーした」

あたしが唐突に濁点混じりの悲鳴をあげて目を抑えたもんだからか、目の前にいた流川がぎょっとしたように目を丸くする。

「いや……目にゴミかなんか入ったっぽい」

目の中の違和感に唸りつつ片手をヒラヒラ振ってだいじょーぶ、と流川にジェスチャーで告げるも……「見せてみ」といきなり両頬を両手で挟まれて、ずいっと顔を近づけられて。さっきとは違う理由であたしの口から声にならない悲鳴が飛び出した。

「ちょっと！流川近い近い近い！」

「？近づかなきゃ見えねーだろ」

「いやまぁそうだけどさぁ！！」

何とかしてこの状況から逃れようとあたしはもがくも、ガッツリほっぺたを挟んでるでっかい手のひらは力が強くて振り解けない。

「なぁ、暴れるとあぶねーんだけど」

「暴れさせてんのはどこのどいつだぁ！！」

「あー、ほら、動くなって、」

「ふぎゅっ」

頬を挟む手の力が一際強くなってあたしは無駄な抵抗を諦めた。

「〜〜〜〜っ、」

流川の、やたらと長いまつ毛があたしのまつ毛に微かに触れる。何とも言えないくすぐったさが気恥ずかしくて仕方ない。ていうか……コイツ、あたしよりもまつ毛が長いのでは？うわ何かちょっと腹立つな…………と、ドキドキとムカムカを混在させながら耐え難きを耐えていればフーー……、と流川のクソでかいため息があたしの鼻先を掠めていって。

「………………何？」

「ダメだな……じっくり見たけど、ひかるの目がキレイだってことしかわかんねぇ」

「〜〜〜〜あほぉ！！」

…………思わず、反射的に流川の事をどついていたけど……こんだけ恥ずかしい目に合わせておいて結局なんの意味もなかったんだから、あたしはちっとも悪くないと思いたい。

(ゴミはいつの間にか取れていた)