短編
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「イメチェン、しちゃった!」
いつもみたいに、いつものように、それはカラッと笑って明るく言い放たれた言葉だった。
けれど、そのいつも通りの明るい笑顔が、私にはとても痛くて、胸が、苦しくて。
泣きたいのは、本当はひかちゃんで。私は泣いちゃダメなんだって、わかっているのに、わかっていたのに、涙がボロボロと勝手にどんどん溢れてしまって。
「えっ?!晴ちゃん……そんな泣くほどあたしの金髪、似合わないかなぁ?!」
「ちが……!ちが、うの……!」
「ちが……?……あー……もしかして、晴ちゃん……うちのおかーさんから膝のコト……聞いちゃった……?」
バツが悪そうに、言いにくそうにひかちゃんの口から紡がれたその言葉に、嘘の返事は返せなくて……けれど、言葉にも出来なくて。私は、首を一回だけ縦に振る。
「そっかぁ……まったく、おかーさんってばおしゃべりだなぁ……」
あはは、と力なく笑うひかちゃんに私は何を言えばいいのかわからなくなって、でも……何かをしてあげたい、って思ったら身体が、咄嗟にひかちゃんを抱きしめていて。
ひかちゃんは「ぅわ?!」とびっくりした声を上げたあと、泣きじゃくる私を落ち着かせるかのように背中をぽんぽんと叩いてきた。
「……だいじょーぶだよ、晴ちゃん。あのさ、あたし……もうバスケット辞めるから……海南じゃなくて湘北受けることにしたんだ。そしたらさ、春からは晴ちゃんやたけにぃと一緒の高校だよ。それって多分……楽しいよね?」
「〜〜っ、ひかぢゃんと一緒の高校はぁ、嬉じいけど……っ!でもぉ……っ!」
「……だいじょーぶ。バスケットは出来なくなっちゃったけど……あたし、元気だし!ほら、部活しなくていいならバイトとかして、晴ちゃんといっぱい遊ぶのもアリだと思うんだよね!バイト代でいっぱい洋服買ってオシャレするのもいいな!学校帰り、一緒に買い物行こ!映画行ったりとかもいいな……あっ、カラオケもいいね!」
高校生になってからの楽しいことをたくさんたくさん並べるひかちゃんだけど、そのどれもがひかちゃんが自分に一生懸命言い聞かせてるように聞こえてしまってしかたなかった。……だって、私……誰よりも知っているもの。ひかちゃんが、どれだけの努力をしてあのコートに立っていたかを。誰よりもバスケットが好きで、大好きだったからこそ、努力に努力を重ねてひかちゃんはあの場所で輝いていたのに、その努力が……ひかちゃんからバスケットを奪うなんて。
「ひかぢゃんんんん……っ!」
「んえぇ……晴ちゃん、落ち着いてよぅ…………あたし、本当にだいじょーぶだからさぁ……」
「だぃ、じょぶ……って、ウソっ……!私、わがるもん……っ!ずっと、ひかぢゃん見てたから……っ、知ってる、もん……っ!」
「っ、」
ひかちゃんが繰り返し言う大丈夫にガマンできなくなっちゃって。思わず否定をぶつければ……ひかちゃんは一瞬だけ息を飲んだ。
「うーん…………全部が全部ウソってわけじゃないんだけどな………………、でも、そだね………………、やっぱり、ちょっとだけ……悔しいや」
……ちょっとだけ、やっと零れた本音にはほんのり苦い涙の色が滲んでて。……私はそれを聞いた途端、ひかちゃんがすすり泣く声をかき消す程の勢いでわぁわぁと泣き喚いてしまったのだった――。
いつもみたいに、いつものように、それはカラッと笑って明るく言い放たれた言葉だった。
けれど、そのいつも通りの明るい笑顔が、私にはとても痛くて、胸が、苦しくて。
泣きたいのは、本当はひかちゃんで。私は泣いちゃダメなんだって、わかっているのに、わかっていたのに、涙がボロボロと勝手にどんどん溢れてしまって。
「えっ?!晴ちゃん……そんな泣くほどあたしの金髪、似合わないかなぁ?!」
「ちが……!ちが、うの……!」
「ちが……?……あー……もしかして、晴ちゃん……うちのおかーさんから膝のコト……聞いちゃった……?」
バツが悪そうに、言いにくそうにひかちゃんの口から紡がれたその言葉に、嘘の返事は返せなくて……けれど、言葉にも出来なくて。私は、首を一回だけ縦に振る。
「そっかぁ……まったく、おかーさんってばおしゃべりだなぁ……」
あはは、と力なく笑うひかちゃんに私は何を言えばいいのかわからなくなって、でも……何かをしてあげたい、って思ったら身体が、咄嗟にひかちゃんを抱きしめていて。
ひかちゃんは「ぅわ?!」とびっくりした声を上げたあと、泣きじゃくる私を落ち着かせるかのように背中をぽんぽんと叩いてきた。
「……だいじょーぶだよ、晴ちゃん。あのさ、あたし……もうバスケット辞めるから……海南じゃなくて湘北受けることにしたんだ。そしたらさ、春からは晴ちゃんやたけにぃと一緒の高校だよ。それって多分……楽しいよね?」
「〜〜っ、ひかぢゃんと一緒の高校はぁ、嬉じいけど……っ!でもぉ……っ!」
「……だいじょーぶ。バスケットは出来なくなっちゃったけど……あたし、元気だし!ほら、部活しなくていいならバイトとかして、晴ちゃんといっぱい遊ぶのもアリだと思うんだよね!バイト代でいっぱい洋服買ってオシャレするのもいいな!学校帰り、一緒に買い物行こ!映画行ったりとかもいいな……あっ、カラオケもいいね!」
高校生になってからの楽しいことをたくさんたくさん並べるひかちゃんだけど、そのどれもがひかちゃんが自分に一生懸命言い聞かせてるように聞こえてしまってしかたなかった。……だって、私……誰よりも知っているもの。ひかちゃんが、どれだけの努力をしてあのコートに立っていたかを。誰よりもバスケットが好きで、大好きだったからこそ、努力に努力を重ねてひかちゃんはあの場所で輝いていたのに、その努力が……ひかちゃんからバスケットを奪うなんて。
「ひかぢゃんんんん……っ!」
「んえぇ……晴ちゃん、落ち着いてよぅ…………あたし、本当にだいじょーぶだからさぁ……」
「だぃ、じょぶ……って、ウソっ……!私、わがるもん……っ!ずっと、ひかぢゃん見てたから……っ、知ってる、もん……っ!」
「っ、」
ひかちゃんが繰り返し言う大丈夫にガマンできなくなっちゃって。思わず否定をぶつければ……ひかちゃんは一瞬だけ息を飲んだ。
「うーん…………全部が全部ウソってわけじゃないんだけどな………………、でも、そだね………………、やっぱり、ちょっとだけ……悔しいや」
……ちょっとだけ、やっと零れた本音にはほんのり苦い涙の色が滲んでて。……私はそれを聞いた途端、ひかちゃんがすすり泣く声をかき消す程の勢いでわぁわぁと泣き喚いてしまったのだった――。