本編
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月曜日の昼休み以降、流川は事ある毎に一年七組の教室へと訪れるようになった。
目当ては勿論、想い人のひかるだ。
授業中はぐっすり眠り、本当なら休み時間だって寝ていたいところを寝る間も惜しんで教室へ押しかければ「アンタ、結構暇人だよなー」なんてひかるに揶揄されて。しかし、拒絶はしてこないのだからトモダチとしては好かれているのだろう……と流川は思うことにした。前向きである。
「よー、ダンナ」
「水戸。……ひかるは?」
「あー……トイレじゃねーかな」
……ひかるの幼馴染である水戸洋平とも会話する程度には仲良くなった。一方、ひかるのダチであり、同じバスケ部員の桜木花道とは何かとケンカになる程の犬猿の仲だが。
ともあれ……洋平の言葉に「フーン」と返し、ひかる早く戻ってこねーかな、と流川がソワソワと待っていれば程なくしてひかるが教室へと戻ってきた。
「流川……また来たのかよ。アンタもよく飽きねーな」
「飽きるワケねーだろ」
少々呆れたような物言いだが、イヤなら拒否するだろうしセーフだろ、と流川は丁度空席となっているひかるの隣席から椅子を引っ張ってきてどっかりと腰を降ろす。
昼食は購買でテキトーに買ってきたパンと野菜ジュースだ。今日はコロッケパンと焼きそばパンにした。
「……流川っていつもパンだけど、パン好きなの?」
「そーいうワケじゃねー。親にいちいち作ってもらうのもわりーから、テキトーに買ってるだけ」
言いながら流川はコロッケパンに齧り付く。正直、ひかると食べるならそれがどんな食事でも美味しく感じる気がする。
ひかるは「栄養偏ってんなー、今日の昼飯タンパク質ねーじゃんか。バスケットマンたるもの筋肉大事だぜ」と言いながら弁当箱を取り出した。
「……アンタはいつも弁当だな。手作りなのか?」
「いちおーね。冷食も使うけど、今日は唐揚げが手作りだよ」
ひかるがいただきますと手を合わせ、唐揚げをもぐもぐと頬ばれば背後からヌッと手が伸びて「一個もーらいっ!」とそれはつまみ食いされてしまった。
「あっ、てめバカ道!!あたしの唐揚げ勝手に食うなよ!!」
「なっはっはっ!今日もうめーな!!」
「ったりーめーだろがアホ!これでマズいっつーてたらはっ倒してるわ!!」
花道とひかるのやり取りにどこか二人の距離の近さを感じて流川は顔を顰める。
すると、ひかるは何かを勘違いしたのか「……流川も唐揚げ食いたいの?一個食う?」と弁当箱を差し出してきた。
「ん……サンキュ。…………うめぇ」
「だろ?得意料理なんだ!」
ニンニクとショウガを効かすのがコツ!と得意満面な顔で笑うひかるに心臓がキュッと甘い悲鳴を上げる。……かわいい。
「にしても……桜木とアンタ、仲いーよな」
「中学からずっとつるんでるダチだからね」
「オレが言うのも何だけどよ、ダチは選んだ方がいいぜ」
「いや……花道ってバカだけどあー見えて悪いヤツじゃないんだよ、バカだけど」
「フーン……」
やたらと強調されるバカという言葉に「まぁ……バカってとこには同意すっけどな……」と流川は焼きそばパンの包みを剥く。
「なんつーか……桜木とアンタ、水戸とは違ったフインキみてーなの感じる」
「あー……洋平とは生まれた瞬間から幼なじみだったからさぁ……もうダチってよりきょーだいみたいなモンなんだよねぇ。あたし、生まれた病院も誕生日も洋平と一緒なんだよ」
――ダチに幼なじみ。そのどれもがひかるにとってのトクベツで。でも――自分がなりたいのはその〝トクベツ〟ではなくて。
(レンアイってヤツはむずかしーな……)
どうしたらひかるにも自分と同じ想いを抱いてもらえるだろう、と流川は流川なりに考える。そして気づく――自分とひかるを繋ぐものは何か。
「あ、そーだ」
「?」
「今度、陵南と練習試合ある。見に来て」
「見に来てって……いつ?」
「来週の日曜」
「まぁ……空いてるし、いーけど」
言いながらひかるはごちそーさまでした、と手を合わせる。流川も食べ終えたパン二つの包みをクシャクシャと丸めながらごちそーさま、と呟いてそれらをゴミ箱に捨てにゆく。
少しづつ――少しづつでも。距離を縮めたい。近づきたい。今はただのトモダチでも――いつかはトモダチ以上の関係になれるように。
目当ては勿論、想い人のひかるだ。
授業中はぐっすり眠り、本当なら休み時間だって寝ていたいところを寝る間も惜しんで教室へ押しかければ「アンタ、結構暇人だよなー」なんてひかるに揶揄されて。しかし、拒絶はしてこないのだからトモダチとしては好かれているのだろう……と流川は思うことにした。前向きである。
「よー、ダンナ」
「水戸。……ひかるは?」
「あー……トイレじゃねーかな」
……ひかるの幼馴染である水戸洋平とも会話する程度には仲良くなった。一方、ひかるのダチであり、同じバスケ部員の桜木花道とは何かとケンカになる程の犬猿の仲だが。
ともあれ……洋平の言葉に「フーン」と返し、ひかる早く戻ってこねーかな、と流川がソワソワと待っていれば程なくしてひかるが教室へと戻ってきた。
「流川……また来たのかよ。アンタもよく飽きねーな」
「飽きるワケねーだろ」
少々呆れたような物言いだが、イヤなら拒否するだろうしセーフだろ、と流川は丁度空席となっているひかるの隣席から椅子を引っ張ってきてどっかりと腰を降ろす。
昼食は購買でテキトーに買ってきたパンと野菜ジュースだ。今日はコロッケパンと焼きそばパンにした。
「……流川っていつもパンだけど、パン好きなの?」
「そーいうワケじゃねー。親にいちいち作ってもらうのもわりーから、テキトーに買ってるだけ」
言いながら流川はコロッケパンに齧り付く。正直、ひかると食べるならそれがどんな食事でも美味しく感じる気がする。
ひかるは「栄養偏ってんなー、今日の昼飯タンパク質ねーじゃんか。バスケットマンたるもの筋肉大事だぜ」と言いながら弁当箱を取り出した。
「……アンタはいつも弁当だな。手作りなのか?」
「いちおーね。冷食も使うけど、今日は唐揚げが手作りだよ」
ひかるがいただきますと手を合わせ、唐揚げをもぐもぐと頬ばれば背後からヌッと手が伸びて「一個もーらいっ!」とそれはつまみ食いされてしまった。
「あっ、てめバカ道!!あたしの唐揚げ勝手に食うなよ!!」
「なっはっはっ!今日もうめーな!!」
「ったりーめーだろがアホ!これでマズいっつーてたらはっ倒してるわ!!」
花道とひかるのやり取りにどこか二人の距離の近さを感じて流川は顔を顰める。
すると、ひかるは何かを勘違いしたのか「……流川も唐揚げ食いたいの?一個食う?」と弁当箱を差し出してきた。
「ん……サンキュ。…………うめぇ」
「だろ?得意料理なんだ!」
ニンニクとショウガを効かすのがコツ!と得意満面な顔で笑うひかるに心臓がキュッと甘い悲鳴を上げる。……かわいい。
「にしても……桜木とアンタ、仲いーよな」
「中学からずっとつるんでるダチだからね」
「オレが言うのも何だけどよ、ダチは選んだ方がいいぜ」
「いや……花道ってバカだけどあー見えて悪いヤツじゃないんだよ、バカだけど」
「フーン……」
やたらと強調されるバカという言葉に「まぁ……バカってとこには同意すっけどな……」と流川は焼きそばパンの包みを剥く。
「なんつーか……桜木とアンタ、水戸とは違ったフインキみてーなの感じる」
「あー……洋平とは生まれた瞬間から幼なじみだったからさぁ……もうダチってよりきょーだいみたいなモンなんだよねぇ。あたし、生まれた病院も誕生日も洋平と一緒なんだよ」
――ダチに幼なじみ。そのどれもがひかるにとってのトクベツで。でも――自分がなりたいのはその〝トクベツ〟ではなくて。
(レンアイってヤツはむずかしーな……)
どうしたらひかるにも自分と同じ想いを抱いてもらえるだろう、と流川は流川なりに考える。そして気づく――自分とひかるを繋ぐものは何か。
「あ、そーだ」
「?」
「今度、陵南と練習試合ある。見に来て」
「見に来てって……いつ?」
「来週の日曜」
「まぁ……空いてるし、いーけど」
言いながらひかるはごちそーさまでした、と手を合わせる。流川も食べ終えたパン二つの包みをクシャクシャと丸めながらごちそーさま、と呟いてそれらをゴミ箱に捨てにゆく。
少しづつ――少しづつでも。距離を縮めたい。近づきたい。今はただのトモダチでも――いつかはトモダチ以上の関係になれるように。