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▼微シリアス
▼ゾロ視点
1ヶ月前、新しいクルーが入ってきた。名前はナマエ。
俺と同じ剣士らしいが、1ヶ月経った今も詳しい事情も、どういう理由で入ってきたかも、知らねぇ。
ルフィさえ「よく分かんね!でも、すっげぇ仲間にしたかったんだ!」なんて言う始末。
それに、あいつも皆と馴染もうともせず、ほとんどを1人で過ごしていた。
ある日、俺がトレーニングをしている時だった。
『あの……お昼が出来たそうですよ。 皆、待ってますよ』
「ん?あ、あぁ。分かった」
『では、お伝えしましたので…』
律儀に軽く会釈しながら返事なんかして、メシを食いに向かうのか、と思えば、それとは逆方向に向かって、その足は甲板の方向に向かってた。
「お前は、メシ食わねぇのか?」
気が付けば、甲板に向かっていたナマエを追いかけて、声をかけていた。
『私は、良いんです。まだお腹も減ってませんし』
「お前…ちゃんと食べてんのか? 食べてる所見たことねぇぞ」
正直この1ヶ月間、ナマエは一度も俺達と一緒に食事なんてしてないし、食べてる所なんて見た事がない。
『ふふ。大丈夫です、ちゃんと食べてますよ。…では、失礼します』
また他人行儀に会釈なんてして、逃げる、避ける。
「おい」
逃げるナマエの手を取って引きとめた。俺でも自分の行動に不思議なくらい。
『……何でしょうか?』
警戒心の感じる、殺気染みた低い声で返事がきた。
「お前…何で避けるんだ…?俺を、俺達を」
『…っ』
「言ってみろよ、そんなに俺らは頼りないか?仲間だろ?」
『仲間…じゃ、…あり、ません』
「は…?」
『仲間じゃ、ありません!』
そんな事を言われたら俺も、さすがに反論してやろうと思って、声を出そうとしたら、ナマエの…叫ぶような声が響いた。
『仲間じゃ……ないんです。私なんか、仲間でいちゃいけない…!』
「ナマエ…?」
『…私、今まで たくさん酷い事をしてきました。両親の居ない幼かった私は、自分が生き延びる為に……あらゆる人々に、物に…、罪を犯してきました』
「……」
『だから、私は…もう、人と触れちゃいけない。それが私が犯した罪に対し、与える罰…』
「……」
『ふふ、引いたでしょ?だから…ゾロさん、分かって…』
その時、初めて名前を呼ばれた。
辛そうな、涙を流したいのに流せないような顔で。
「…じゃあ、なんで 今でもお前は、この船に居る?」
『……っ』
「それは、人と触れ合いたいって気持ちがあるからじゃねーのか?」
『言わないで!』
「人と関わりたいって、お前が居るからだろ?」
『…っ、言わな、いで…』
泣き出したナマエを、俺は思わず抱き締めた。
「お前の犯した罪、受ける罰、俺が一緒に背負ってやるから」
『…っ、わぁああぁ………!』
泣き叫んだナマエが落ち着くまで、俺はずっとナマエを抱き締め、まるで子供をあやすかのように背中をポンポンと叩いていた。
二人一緒に背負えば
(そうすりゃ 少し軽くなるだろ?)
『あ、ありがとう…ございました…。少し、気が楽になりました』
「気にすんな。これからは、徐々にで良いから、皆と仲良くしろよ」
『はい!…本当にありがとうございました!』
今度は今まで見たことのない満面の笑みで、会釈するナマエ。
こんな笑みを見せるのは俺だけで充分だ、なんて 小さな嫉妬心を持ったのは言わないでおこう。