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▼現パロ
「尾形さん、好きです。よかったら付き合ってください!」
以前からお世話になっていた先輩。仕事は出来るし、ルックスも良く女性社員からの人気は高い。
性格は少し気難しいところもあるけれど、優しいところがあることも知っている。
「…構わない」
玉砕覚悟で伝えた気持ち。OKを貰えたことが信じられなくて、本当ですかともう一度尋ね直せば、こくりと彼は頷いてくれた。
嬉しくて思わず涙が溢れてくる。すみません、と言って下を向き涙を拭うも止まらない。
こつこつと響いた音と視界に入った革靴に、尾形さんが近付いてきたのだと分かる。
そして、両手で頬を包み上を向かされ、そっと親指で私の涙を拭ってくれた。
そんな尾形さんの顔は仕方なさそうに、でも優しく笑っていた。
胸がいっぱいの私は、すっかり頭から抜け落ちていたのだ。付き合うことを了承してくれた尾形さんが、一言も私のことを好きだ、と言ってくれていないことに。
お付き合いしてから、変わったことはたくさんある。
すれ違い様に、ぽんぽんと頭を撫でてくれる。寂しくて寄せた身体を、そっと抱き締めてくれる。熱を帯びた瞳と甘い吐息に、余裕なさげな表情と。
それでも、一度も告げられてない言葉に、不安になっていくのは必然だった。遊ばれているのでは、ただの都合の良い女だけなのでは、と。
聞くに聞けない。この関係が終わってしまうことが怖くて。優しく触れるこの手を手放したくなくて。
***
「この後、飲み行かない?」
今日は繁忙期でドタバタとしていた仕事が、やっと落ち着いた日だ。多くの人が定時で仕事を終え、帰路に着く。会社を出てすぐに同期の彼に声を掛けられた。
でもこの後、尾形さんとご飯に行く予定がある。断りの言葉を口にしようと口を開いた瞬間に、彼と私の間に誰かが割って入ってきた。
背が高く広い背中に、この香水の香り…尾形さんだ。
「悪いな。先約があるんだ」
俺と2人きりの、な。そう言いながら尾形さんに肩をそっと抱かれる。
それを見た同期の彼は、私と尾形さんを交互に見て目を丸くしていた。
私の肩を抱いたまま、尾形さんは踵を返そうとするので、私と同期の彼はお互い慌てて早口になりながら、別れの挨拶を口にした。
「あんなことして…噂になったら困るんじゃないですか?」
「困るようなことなんてねぇよ。…何が言いたい?」
「尾形さんは…私のこと好きですか?」
藪から棒に何だ、という怪訝な顔を向けられる。頑張った、頑張って言ったぞ、私。ここまで来たら、はっきり聞かなければ。
「今まで言葉にしてもらったことがないので…」
「それはおかしいなぁ。俺は言ったぞ?お前が気をやってる時にな」
意地悪な笑みをしながら顔を覗き込まれ、カッと頬に熱が集まる。
「そ、そんなの知りません!私が覚えてないので無効です!」
そう突っぱねれば、背中に手を回され、ぐっと抱き寄せられた。
「愛してる、ナマエ」
そう低く、囁くように。
予想よりも深い言葉が耳に降りてきて、驚いて尾形さんを見上げる。
尾形さんは髪を撫で付けながら、これで満足かと言わんばかりのしてやったり顔をしていた。
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