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入間さんは私のことが気に食わないんだろうな、と思う。
先輩や同期と話している時にはよく横入りしてくるし、捜査の仕方に意見を述べてみれば「詰めが甘い」と怒られる。
そして今、担当している事件と関連性があるかもしれないと、先輩と過去の事件の資料を調べていると、またもやどこからか現れた入間さん。
お疲れ様です、とお互い挨拶をしたのも束の間、私達が調べていた資料を横目で見る。
「これは…1年前のものですね」
「はい、そうです」
「3年前ぐらいまで遡って調べてください。確か似たような事件があったかと思いますので。
君、持ってきてもらえますか」
私も少し確認したいので、と入間さんは言い、先輩は資料調達へと席を立ってしまった。
先輩の席とは別の椅子に座った入間さんは、積み上げてあった事件資料の1つを取り、確認し始めた。
「…何か言いたそうな顔をしていますね」
チラチラと覗き見ていたのが分かってしまったのだろうか。入間さんは視線だけをこちらに向けそう言った。
「…いえ、なんでもありません」
「なんでもない、という顔が出来ていませんよ」
入間さんは口に手を当て、くすくすと笑った。なんだか嘲笑われているかのような気持ちになり、少しほんの少しだけ腹が立った。
「入間さんは…以前から私のことが気に食わないのはよく分かっています。でも理由も分からずに、そのような態度をされる納得が行きません。理由を…教えて頂いても?」
言った言ってやったぞ!と思う反面、心臓はバクバクと音を立てていた。握りしめた手には嫌な汗が滲む。
意を決してそう言ったというのに、入間さんは少し目を丸くして驚いた表情をしていた。
「気に食わない、なんて思ったことないですよ」
「え、でも」
「では、逆にどうしてそう思われたのですか?」
そう聞かれ、今まで思っていたことを話す。入間さんは額に手を当て、困ったようにそれを聞いていた。そして聞き終わった後、深いため息をひとつ吐いた。
「まず…アナタの意見について詰めが甘い、とは思いますが、それが悪いとは思ったことは一度もありません」
考え方や見方を変えれば有用性のある意見ですよ、と入間さんは少し微笑んで言ってくれた。それが嬉しくて、ニヤけそうになる顔を必死に抑える。
あと横入りの件ですが、と咳払いをして入間さんの言葉が続く。
「目の前で好きな女が他の男と話してたら、邪魔するに決まってんだろうが」
いつもの声色より少し低めに言われたその言葉。そして、真っ直ぐに見つめられた瞳に、顔が赤くなっていくのが自分でも分かる。
「まぁ、そういうことです」
入間さんはほんの少しだけ私の手に触れ、じっくり考えてくださいね、と言って、その後また資料へと目を落とした。
それじゃあ、今までのは全部私の勘違いで。むしろ好意を寄せられていたなんて、そんなの思っても見なかった。
資料を抱えた先輩が帰って来ても、入間さんは私達と一緒に資料を確認していて。
私も平静を装って資料に目を通していたけど、内容は頭に全然入って来なかった。触れられた手だけが熱い。