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「なんでオレさまとじゃなくて、ダンデとのスクープに先越されるんだよ!」
部屋の中にキバナの大声が響き渡る。
朝一面の新聞の表紙を飾ったスクープ。それはチャンピオンととある女性がホテルに入っていくところを撮った写真、つまりはダンデの熱愛スクープとなる。
モザイクを掛けられているが、とある女性とは私のことだ。
先日、仕事帰りに偶然出会ったダンデが、滞在するホテルまでの道のりが分からないというので、案内したのだ。ホテルに着いたは良いものの、ダンデは皆が知る方向音痴…部屋までも辿り着けないのではと心配になり、最後まで送り届けたのだ。
そのホテルに一緒に入る瞬間を撮られていたらしい。さほど時間も経たずに、私はホテルから出て来たはずなのに、なぜそちらは撮られてもおらず話題にもされてないのか。
良いとこ取りなんだろうなぁ、と半ば呆れながらコーヒーを飲む。
こういう事があった、とキバナには話していたので新聞を一目見て分かったらしい。いつものように、一緒に朝食をとるつもりが、未だキバナは新聞を見ながらブツブツと唸っている。
どうやら、当の私より気にしているらしい。
「…ごめんね?」
「いや、お前は悪くねェ。だってダンデ送り届けただけなんだろ?」
「うん」
「てか、ダンデも簡単に撮られてよー!…まぁ、アイツじゃ仕方ねぇか。にしても、この話題結構続きそうだな」
「そうだね。これより大きいスクープが出ないと、中々静まらないかも…」
だな…と沈んだのも一瞬、キバナはすぐに何かを思い付いたような顔をした。ニヤリと笑うそんな彼の様子を見て、なんだか嫌な予感を感じた。
後日、ジムチャレンジを無事勝利で収めたキバナのインタビュー。今回は家のテレビ越しにそれを見ていた。チャレンジャーとのポケモンバトルの感想、今回の反省点など、いつもの調子で答えていく。
インタビュアーが「最後に一言!」と言ってキバナにマイクを向けた瞬間、「あ、そうそう」と思い出したように答えた。
「この前ダンデとスクープになってた女性、あれオレさまの女だから
…手出すんじゃねぇぞ」
最後は低い声でそう言った。飲んでいたコーヒーでむせたと同時に、テレビからは阿鼻叫喚の声が聞こえてくる。
そんな事を言っては二股疑惑かかるのでは、という心配もすぐに消え去ることとなる。会場に来ていたダンデへのインタビューへと、画面が切り替わったのだ。
「…ということなんですが、そうなんですか!?この前一緒にホテルへ入った女性とは何の関係も!?」
「道に迷っていた時に偶然会った知り合いで、道案内…ホテル案内してもらっただけだぞ!」
それにあの女性はキバナの彼女だからな!と錯綜する情報を確信と変えるダンデの一言。
その直後に、端末が軽快なリズムを鳴らす。控え室へと戻ったのか、それはキバナからの着信だった。
「オレさまの勝ち」
何と競っているんだとか、全国放送で何を言ってくれたんだ、とか言いたいことは山ほどあるけれど、少しは「オレさまの女」発言が嬉しかった訳で。
「負けました」
私の口からはその言葉しか出てこなかった。