日向 順平
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ある女の子が、家で作ってきたというクッキーを、クラスの皆に披露した。一人、また一人と食べては「旨い」と口にした。
私も1つ頂いた。形も凄く綺麗で味も最高。
流石、可愛い子が作るものは凄いなって。
私が作ったって平凡な出来だし、それを学校に持ってきたとなれば、騒動になるだろう。似合わない、あのミョウジが、って。
「お前もさ、何か作ってきたら?」
窓際で、もぐもぐとクッキーを味わっていると、後ろから声をかけられた。
隣の席であり、私の好きな人でもある、日向だった。日向もさっきのクッキーを食べてる様子だった。
『知ってるでしょー?柄じゃないって』
「ギャップってやつがあんだろ」
『ないわー。私は見ての通りだよ』
ハハ、と笑った私の隣には、いつの間にか日向が立っていて、背中を窓際に預けていた。
「ほんと女らしさに欠けるよな」
『…今さら』
自分でも自覚しているけど、人に言われるのは何とキツいものか。日向の目に見えないところで、手をぎゅっと握り締めた。
『そんなに食いたければ、リコに作ってもらえばいいじゃん』
「おま、知らねぇだろ…あの料理の才能を…」
『どうせ上手いんでしょ?』
「逆だよ!逆!逆!」
どこか鬼気迫る勢いに、何があったかは大体想像はつく。リコ、そんなにアレなのかなぁ?…今度作ってもらお。
「だから、お前が作って来いよ」
『え、さっきクッキーくれた子に頼めばいいじゃん。私より確実に上手いよ』
「あーもう!だアホ!…お前のが食いたいっつってんだよ」
いつの間にか、握り締めていた拳には力が無くなっていた。そして、思わぬ言葉に驚き日向の方を見ると、首に手を当て、耳は少し赤く照れているようだった。
『…マジで言ってんの?』
「あぁ」
『私が作ったって可愛げに欠けるよ?』
「…知ってる」
『日向なら他の子に頼んだら、一発で貰えるよ?』
「何度も言わせんな!…お前のがいいんだよ」
『…そっか。じゃあ、頑張るしかないか!』
次の日のこの時間、この場所で、またこうやって日向と話をしているだろう。
1つ違うのは、私が可愛い包みを持っているってこと。誰かさんに渡す為の、ね。
女の子らしさなんて
(皆無な私も、時には頑張ります)
『ど、どう…?』
「え、普通に上手いよ」
『良かった…』
「むしろ昨日のあの子のクッキーより、これのが俺の好みだわ」
『そ、そうですか』
「これからも俺に作ってくれよ」
『…何その…プロポーズみたいな?』
「ちげぇよ!だアホ!…いや…違わなくない、かも」