高尾 和成
▼ Name change!
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
最近、唇が荒れ始めた。一度触りだしたら止まらず、気になって気になって仕方がない。
休み時間の今も軽く唇を触りながら、寝ていて書けなかった部分を、黒板を見ながらノートに写している。
ずっと触っていると何か変に思われそうなので手を離すも、いつの間にか手は唇の元に。
「ミョウジー、さっきから唇触ってっけど、どうかした?」
突然、隣の席の高尾がそう言ってきた。
声の方に顔を向けると、高尾は移動を始めていて、おもむろに空いている前の席に、後ろの私の方へと体を向けながら座った。前の席の子は、ドアの近くで友達と談笑中だ。
『…唇、最近荒れ始めたんだ』
高尾の顔を見るとだんだんと見られていた、という恥ずかしさが込み上げてきた。
なるべく視線は黒板とノートの往復で、高尾には向けないようにした。というか見れなかった。
「あら。リップは?」
『リップあんまり好きじゃないの』
「へー何か意外」
『そう?』
チラッと高尾の顔を盗み見ると、「うん」とニコニコ笑っていた。
「あ、俺よく効く薬持ってるぜ」
『え、ほんと?』
「おう。やろっか?」
『くれるなら』
やるに決まってんじゃん、そう言った途端に高尾の手が伸びてきた。
高尾の手に目を塞がれ、視界は一面、真っ暗。
『…なんで目隠し?』
「ほら、お楽しみーってやつ」
その声は先程より、近くで聞こえたように思えた。
「行くぜー」
視界一面の真っ暗に不安になりながらも、その声を聞いて何を出してくれるのかと少しワクワクした。
でも一向に視界は明るくならなくて、ただ唇に何か柔らかいものが当たる感触。と同時に、軽いリップ音が耳に響いた。
そして、私の目を隠していた手を退けてくれたようで、真っ暗から一変、視界は明るくなった。久しぶりの光に少し眩しい。
それよりも、
『な、な…!何したの!?』
「えーそりゃ、キ
『あぁああ!言わなくて良い!言わなくて良いから!』
何で!と頭がぐるぐると回る。多分、いや絶対、今私の顔は茹で蛸のように赤く熱いだろう。
「それが一番効くんだぜー」
『嘘だー!』
「…じゃあ、もう一回試してみる?」
そう耳元で囁かれた言葉に、ボンッと頭の容量がオーバーした。
満足したのかニコニコと笑って教室を出て行く高尾の後ろ姿を、悔しげにずっと見つめた。
そして、だんだんと緩んでいく頬を、誰にも見られないように両手で隠した。
効能はいかがでしょうか