遠回り恋愛。 / 高尾
▼ Name change!
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
先程来た屋上にまた連れて来られて、なんだかさっきの事を思い出して、はやくここから離れたくなった。
けど、この掴まれた手がそれを許してくれない。
『高尾』
そう名前だけ呼ぶと、ビクッとして手を離してくれた。でも私にはまだ背を向けたまま。
「…なんかさ」
『ん?』
「緑間と前より仲良くなった?」
『いや、変わらないと思うけど…』
「あれか?俺にフラれた傷を緑間が癒やしてくれた、みたいな?」
何を言ってるの…?
表情は見えない。でも、言葉一つ一つが私の心にナイフのように刺さっていく。
もう何も聞こえない。
ただ、見える背中が今は憎らしくて、ドンッと叩いた。
『バ、カ…』
たったそんな2文字もちゃんと言えたか分からない。
視界が涙で揺らいでいく中、急に暖かいものに包まれて。
目の前には見慣れた制服が少し歪んで見えて、高尾に抱き締められていると頭ですぐには考えられなかった。
「わりぃ、嘘」
ぎゅっと抱き締められて、耳の近くで小さく呟かれた言葉は、全身に響いていく。
「ただの嫉妬」
『…え?』
「近すぎんだろアレは」
またもや別の意味で何を言っているのか分からない。嫉妬?誰に?もしかして緑間?
「これから言うこと、よく聞けよ」
さっきより強く抱き締められて、何を言われるのだろうと不安になりながら、自分のスカートの裾をぎゅっと握りしめた。
淡い期待と不安と
(抱く自分がどこかに居た)