遠回り恋愛。 / 高尾
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『高尾、……好き』
そう目の前の奴に告げれば、まん丸と目を見開いて、少し頬を赤く染めた。
少しはこの告白を意識してくれたんだ、と嬉しくなった。…そんなこと一瞬の喜びだって知ってるけど。
この関係を壊したくなかったと言えば嘘になる。壊して、壊して、それより上に行きたかった。彼女になりたいと思った。
日に日に高尾に対する想いが強くなっていって…、どうせなら当たって砕けようって。
「ごめん。俺…」
『知ってる。あの子のこと好きなんでしょ?』
砕けることは最初から知ってた。ずっと高尾を見てきたから、高尾の目線の先に、あの子が居るのにも気が付いた。
私が高尾に送る視線を、高尾はあの子にしていた。この…相手を愛しいとする視線を。
「なん…で、それ」
『誰だと思ってんの』
「ナマエ…」
心臓を刺すかのような悲しい気持ちを押し殺して、ひたすらへらっと笑う。
私とは逆に高尾は苦しいような表情をしていた。…高尾は笑ってればいいんだよ。笑い飛ばせばいいんだよ。
苦しむのは私だけで良い。
『何でそんな顔してんのー』
「え?は?」
『そんな考え込むような事じゃないでしょ』
「ナマエ…」
『私をきっぱり振ればいいんだよ』
そう言った私は上手く、笑えているだろうか。今にも視界が涙でにじみそうなのを我慢して、手に力を入れる。後ろで組んでいる手は、爪が食い込むようなほどにずっと握り締めていた。
それに高尾が気付いたのか、少し驚いた顔をした。
そして、抱き締めるように引き寄せられた。けど私は手を高尾の胸に当て、それを制した。
『抱き締めないで』
そんな優しさいらない。抱き締められたら、何もかも止まらなくなる。
高尾はゆっくりと私から手を放した。
「ごめん。…ナマエとは付き合えない」
『ん。…ありがと』
少し、ほんの少しだけ高尾の表情が軽くなった気がした。
そうだよ。そんなに悩む必要なんてないんだ。
『これからもずっと友達だよ!』
と笑顔で私は去った。うん、多分、今まで以上に笑えてるはず。
一心不乱に駆け出して、高尾が見えなくなるような所でしゃがみ込んだ。
耐えていた涙が一気に流れ出すようにボロボロ出て来て、1人声を押し殺して泣いた。
涙で濡れた手のひらは、薄く血が滲んでいた。
抱き締めないで、と望んだ訳は
(そんなのただの強がりで)