日向 順平
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あの2人の姿を見かける度に、羨ましいと心の中でそっと呟く。
バスケ部の関係で、監督のリコと部長の日向はよく一緒に居る。それはもう、しょっちゅう一緒に居るのを見る。その度にリコが羨ましいって思うんだ。
いつも日向と居れて、羨ましいなって。
私もその2人とよく一緒に居た。けど、私には分からないバスケの話がだんだん多くなっていって、少し距離を置いた。クラスも離れてたし。
でも2人は変わらなかった。私は居ても居なくても一緒だったなんだなぁって、少し寂しくなったけれど、これで良いって思った。
もしかしたら親密な2人だから、そうだったのかもしれないし、そんな噂も立つくらいだったし。
少し離れてるぐらいが、ちょうど良いって。
『ね、伊月ー』
「はいはい」
そしていつからか仲良くなった伊月に、屋上で愚痴を聞いてもらう日々。
「ようするに、まだ好きなんだろ」
『うるさい』
そう一言、言ってパックジュースを飲む。まだあると思ってたジュースはあまり残ってなくて、少しガッカリしながら、ズズズと音を立てた。
それに伊月は少し笑いながら、口を開いた。
「でも、日向も…」
言葉の途中で、屋上の扉の開く音がした。反射的に止まってしまった会話に、誰が来たのだろうと気にしていると、その姿は先程 話題に出たあの人だった。
「伊月ー。屋上に居るって聞いて…… ミョウジ?」
『お、う』
「…お前、なんでここに」
『え、あ、お昼ご飯』
「なんでだよ。つか…」
「日向。俺に用事だろ?」
日向がブツブツと喋り出す前に、伊月が口を挟んだ。日向は「そうだった」と言って、バスケの話をし出した。うん、なんかデジャヴ。
「…なわけで、よろしく」
「了解」
「それより伊月、ミョウジと仲良かったのか?」
「あぁ、それ以上だよ」
『「は」』
間の抜けた、私と日向の声が重なる。
「お互いを知り尽くしてるよ」
『ちょ、伊月!?』
何言ってんだ伊月。と凄い勢いで罵倒したくなる気持ちを抑えて、伊月のシャツの襟を掴み揺すりまくる。あはは、とただ伊月は笑ってた。
それとは逆に、凄い勢いで眉間にしわが寄る日向。般若並みだよ。
「伊月。こいつ、ちょっと借りるぞ」
そう言って、日向は私の手を掴み歩き出した。
屋上を出て着いた場所は、非常階段だった。
『ど、どうしたの』
「なんで最近、俺達を避けてるんだ?」
『避けては…ないよ』
「なわけねぇだろ。リコも心配してるぞ…俺も」
その言葉に少しドキッとしながらも、必死に平常を装った。
『気のせいだよ。きっと』
「…伊月と付き合ってるからか?」
『へ?』
「どうなんだよ」
『…付き合ってないよ』
「なら
『あぁもう!そっちが付き合ってるから、邪魔しちゃいけないと思って、距離置いたの。それだけ!またね!』
日向の言葉を遮って、そう叫ぶ。もうヤケクソだ。
そのまま教室に戻ろうとして、非常階段のドアノブに手を掛けたとき、後ろから何かに引っ張られた。
じわりと温かい体温が背中に広がる。日向に後ろから抱きしめられていると分かるのに、時間はかからなかった。
「だアホ」
低い声で耳元でそう言われ、ドキッとする。
「誰が誰と付き合ってんだよ」
『……リコと日向』
「んなわけねぇだろ。…俺が好きなのはお前だよ」
そう言われて『だアホ』と言えば、「お前がな」と正面に向かされ、また抱き締められた。
ふたつの影は
(重なるように、ひとつに)
「あーあ、心配損だわ」
『うるさい、うるさい。こっちの台詞だ』
「ま、そのおかげでお前とこうなったから、いいわ」
『…だアホ!』