高尾 和成
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▼高尾視点
「じゃーんけん」
「「ほい」」
「さぁ行くのだよ高尾」
「またかよ…へいへいっと」
信号の度にリヤカーを誰が漕ぐのかを巡って行われる、じゃんけん。今日も相変わらず俺の負けっぱ。
ついで、今日はやけに信号に引っかかる。通る信号すべてに引っかかっているぐらいだ。
次の信号に引っかかる確率も…うん、限りなく100%に近いだろう。
こんなに引っかかるのは、後ろで悠然としるこをすするコイツの運より、はるかに今日の俺の運の悪さが勝っているからなのだろうか。
「はやく漕ぐのだよ高尾」
「いや、見て真ちゃん。信号引っかかってるからね」
「今日はやけに引っかかるな」
「どうにかしてよ」
「知らん」
「ひっでーなー」
緑間からも見放された俺の運は、相当悪いんだろうな。ほらみろ、また信号に引っかかった。
じゃんけんは…はい、また俺の負けー。嫌んなるぜ、ったく。
じりじりと照りつけてくる太陽の暑さが体力を削る。だらんとハンドルにもたれかかり、信号が変わるのを待った。
そして1分も経たないうちに、ふと隣に女の子が立った。制服からして同じ学校。
あぁ、この子も暑い中大変だな。なんて思ってすぐに視線を歩行者信号に向けた。
が、なにやら横から視線を感じる。チラチラではなく、ガン見されているよう。
そちらを向けば目を反らしてくるだろうと思い、視線を女の子に向けたが、女の子は真っ直ぐ俺を見たままだった。
「え…と、何すか?」
先に折れたのは俺。真っ直ぐな視線に耐えきれなくなった。しかも喋ってくれねぇし。
『あ、いえ。大変そうだなって』
「まぁ、後ろにコイツ乗せてるんで余計にね」
そう嫌みったらしく言いチラリと緑間を見るも、涼しい顔で雑誌を読んでいやがった。ちくしょう。
『あ、これ。良かったらどうぞ』
と女の子が鞄から取り出したのは、スポーツ飲料。
『さっき買ったばかりで、口も付けてませんし』
「いや、でも」
『気にしないでください。じゃあ』
女の子はそう笑って、横断歩道を歩いていった。いつの間にか信号が変わっていたようだ。
「真ちゃん」
「なんなのだよ」
「…俺の星座ってさ、今日何位だった?」
「確か……1位だったと思うのだよ」
女の子の後ろ姿に少し釘付けになりながらも、貰った冷たいスポーツ飲料を少し飲んで、俺も横断歩道を渡り始めた。
信号待ちで
「あと今日ほど、お前を後ろに乗せてていいと思った日ないわ」
「これからも人事を尽くすといいのだよ」
「はいはい」
えーすさまにばんざい!
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某キャラソンをもとに。
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