日吉 若
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▼日吉視点
『日吉くん、一緒に行こ!』
「はぁ…またですか」
放課後の委員会活動で、学校新聞に載せる写真を撮りに行く度ずっと付いて来るこの先輩、ミョウジナマエさん。
毎度毎度、飽きないのだろうか。
『今日はどこ行くの?』
「特に…」
『じゃあこっち!』
そう言った先輩は、俺の手を取って引っ張って歩いて行く。
前の俺なら、手を振り解いて自分で歩いているだろう。心の変化は怖いものだ。
『着いた!』
「ここって…」
『そう屋上!』
「確か開放厳禁じゃ…」
『気にしない気にしない』
着いたのは開放厳禁のはずの屋上。何故この人は、ここの鍵を持っているのだろうか。
「先輩、なんで鍵を…」
『あぁ、忍足に借りた!』
なんで忍足先輩が持ってるんだ…。それにしても、
「…忍足先輩と仲良いんですね」
『え、なんて?』
「いえ、何も。ところで、何でここに…」
『うーん?日吉くんを元気付けよっかなってさ!』
確かに最近、部活で思うようにいかなくてイライラしていた。
だけど普段の生活には出さないようにしていたし、ましてや月に数回しか会わないこの先輩に…。
「…余計なお世話ですよ」
『ははっ。分かってる』
でもね、と先輩はフェンスに手をかけ、大きな校舎やテニスコートを見下ろしながら言った。
『誰にだって伸び悩む時期はあるよ。でもそれを1人で溜めてちゃ、余計にダメ。日吉くんには頼りになる先輩がたくさんいるでしょ?鳳くんや樺地くんだっている』
それに私もね、と先輩は笑って付け足すように言った。
本当に何でも分かってしまうんだな。この先輩には頭が上がらない。
「…先輩は違うんじゃないですか」
『酷いなー。私だってずっとここから、日吉くん見てたんだからねー』
夕焼けに照らされた先輩は、何かを愛でるような優しい目でテニスコートを見ていた。
俺は無意識のうちにカメラのシャッターを切っていた。
『あ!ちょ、何撮ったの!?』
「校舎ですよ、校舎」
『嘘だ!だって校舎あっち…!』
「気にしちゃダメですよ」
『意地悪!』
「それにしても…俺を見てたって本当ですか?」
『そこはスルーしてよ…』
「無理なお願いです」
小さく唸る先輩は、何かを決めたように深呼吸をして、俺の方を向いた。
『えっと…。ずっと、好きでした』
「でしょうね」
『え、えぇ!?』
「…俺からの返事は次の学校新聞を見てください」
いつからか
(俺だって惚れていたんだ)
報道委員長に頼んで、この前の先輩の写真を学校新聞に載せて貰った。タイトルは「好きな人」
『ひ、日吉くん!』
「どうしました?」
『あ、あれ!あの写真!もしかして私!?日吉くんが撮ったやつ!?』
「声、大きいです」
『…す、すみません』
「…先輩の言う通りですよ」
『じゃあ、あれってその…』
「そうですね。…タイトル通りです」
『…!』
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