「ナマエー！」
『どした、ブンちゃん』
「何か…食い物…」
『またか』


クラスの違うナマエとは幼なじみだけど、話す機会は少ない。
そんなナマエに恋する俺は、腹が減ったら必ず、何か食べ物を持っているナマエの所へ行く。
ナマエは、パンとかおにぎりとか腹ごなしになるものは持ってなくても、最低限飴かガムを常に持っている。


『今日は～飴ね』
「サンキュー！」
『なんでそんな私にたかんのさ』
「いやー。だって常に何か持ってるじゃん」
『まーそうだけどー』


本当はそんな理由だけじゃねぇよ


不服そうな顔をするナマエに、本当のことを言ってしまいそうになる。
これは俺の苦手分野なんだが、そうも言ってられなくなるだろう。でも今は誤魔化しておく。



「しかも俺、腹減りすぎると禁断症状出るんだよ」
『え、まじ？』
「当たり前だろぃ」
『どんな…？』
「人に言えないような…
『うわー！じゃあダメダメ！言っちゃダメ！』
「というわけで、シクヨロ」
『分かった…！』




禁断症状という名の
(君に会いたい口実)



「本当に信じちゃってるよ。ま、これで心おきなくナマエの所に通いつめれるってことだ」