A gleam of hope / 黒刀
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次に目を開けた瞬間そこは現世で、繋がれていた鎖も完全に消え去っていた。
しかし、気持ちが晴れない。
最後のナマエのあの表情を見た瞬間、俺のした事が改めて分かった気がした。それに俺のした事は、過ちだということも。
ナマエは、俺を現世に出すために自ら貫かれた。
俺より地獄に縛られるナマエのことも分からずに、1人で現世に出ることだけを考えた。…俺は自分のことしか考えて無かった。
この数日間、ナマエと過ごしたことが安らぎだったことも気付かずに。
俺はまた、"大切なもの"を失ってしまうのか…?
『ナマエ…!』
そして俺は再び、自らの手で地獄に堕ちることを選んだ。
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地獄に堕ちてすぐ、ナマエを探した。あの時過ごした、いつもの場所にもいない。
駆けて駆けて駆けて、探した。
しかし、何処にもいない。
「おや…?」
「誰だ!」
「君は、黒刀くんだね」
「あんたは…」
出会ったのはあの時、ナマエと話していた地獄の"上の者"だった。
「また戻って来たのかい?…ナマエのおかげで折角出られたのに」
「…っ!ナマエはどこだ!?」
「…ナマエは君に刺され死に、甦えった途端、力を失い抗うことをやめた"抜け殻の咎人"になったよ」
俺はその言葉を聞いたとき瞬間、また駆け出した。
やっとクシャナーダに追われる咎人の中に、ナマエの姿を見つけた。
クシャナーダから逃れるためにナマエの隠れた場所は、ナマエと初めて出会った場所だった。
「ナマエ!」
俺はナマエを抱き締めたが、なんの反応もない。本当に抜け殻のようだった。
「ナマエ! 抗うことをやめるなよ!ここから出るのを諦めるなよ!……俺はお前がいなきゃダメなんだよ!」
そう言って、ナマエの唇に俺の唇をそっと重ねた。途端、ナマエは一筋の涙を流し、生気のある瞳を取り戻した。
『こく、とー…?』
「…あぁ!悪かったなナマエ」
抱き締める力にぎゅっと力を込めると、ナマエは、ふっと笑った。
『…黒刀、好き…だよ』
「あぁ、…俺もだ」
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それから数年後、力を取り戻したナマエと一緒に俺たちは地獄を抜け出した。
現世に出て、俺の妹とナマエの兄貴の墓を隣同士に造って弔った。
(そのお墓の前には手をつなぐ二人の姿があり、
それを柔らかな暖かい微笑みで眺める、二人の霊の姿があった。
二人は顔を見合わせ、光に包まれ天に昇って行った)
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