弓場 拓磨
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「さぁ、洗いざらい吐いてもらうぞ」
「いや、怖すぎだから急に!」
ソロランク戦を終え、そろそろお腹が空いたなぁ〜と食堂へ向かっていた時、見つけたぞと言わんばかりの顔をして、ののちゃんが迫って来て捕まったのはつい先程のこと。
「あのな、私だって気付いてるし傷付いてるんだぞ。理由も分からないまま避けられている私の気持ちも考えてくれ」
「…ごめん。ののちゃんは悪くないんだよ、ホントに」
そのまま少し遅めのお昼ご飯を共にしながら、ののちゃんと話を始めた。
最近、私がののちゃんを避けていることについて。
でも、ののちゃんは何一つ悪くない。全部私が悪いのだ。
「あのね、実は…」
「あっ、ちょっと待ってな」
「う、うん」
ののちゃんはスマホを手に取って少し操作してから、画面を伏せて机の上に置いた。
それを見届けてから、私はぽつりぽつりと話し始める。
最近、私と弓場くんはお互いに予定が合わないことが多く、一緒に過ごす時間が減っていた。
そんな中、彼女の私より同じ隊のののちゃんやユカリちゃんの方が弓場くんと過ごす時間が多いんだなぁ。なんて一度思ってしまったら。
そんなことを考えてしまった私が情けなくて、恥ずかしくて。それでも羨ましいなんて思ってしまって。
ごめんね、嫌な態度だったよね。
それに、こんなどろどろとした気持ち、弓場くんは知らなくていい。知って欲しくない。重い女だって嫌われたくないよ。
「…だ、そうだぞ」
「うん?」
私に言った…というよりかは、第三者に投げかけたような言葉。
ののちゃん、と口を開こうとすれば、おそらく伏せていたののちゃんの携帯から怒号が聞こえて来た。
『おめェー!そこで大人しく待ってろ!』
私の聞き間違えでなければ、それは弓場くんの声。…ちょっと待って!弓場くん!?なんで!?
口をぱくぱくと開けてののちゃんを見やれば、携帯をこちらに見せてくる。
その画面は電話の発信画面を示していて、発信先は案の定弓場くんのようだった。
「私はさ、なんとなーくだけどそんな理由かなとは思ってたんだよ。それで弓場もナマエの様子に気付いてたみたいだったからさ」
全身が沸騰したかのように熱くなる。けれどすぐに、弓場くんに聞かれてしまったと血の気が引いていった。
「いやいや!無理無理無理!」
『藤丸!しっかり捕まえとけよォ!』
「了解!」
「ウワー!!」
逃げ出したいのに、がっちりののちゃんに手を掴まれて逃げられない!力強くないですか!?
「言っとくけど、ナマエの様子に最初に気付いたのは弓場だからな。話聞いてやってくれって、お前の方が話しやすいこともあるだろうからって」
『ほんっと人の気も知らねェで!俺だってなァ…クソッ!今すぐ行くからな!話はそれからだ!」
そこでブツっと音が切れる。どうやら電話が切れたようだ。弓場くんがここに来るカウントダウンが始まったような気分。
ののちゃんにニヤリと笑って「愛されてんね?」と言われ、ぐっと言葉に詰まる。
嬉しい。嬉しいけれど、今はそれどころじゃない…!
「ま、観念しなさんな」
そうにっこりと笑うののちゃん。
そして弓場くんに捕まるまで、あと。