諏訪 洸太郎
▼ Name change!
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「えっ!?諏訪って彼女欲しいの!?」
「うっせ。珍獣見た、みたいな顔すんじゃねェ」
諏訪の友達と私の友達が付き合った。そんな話から始まり、「俺も彼女欲しいわ」なんてそんな諏訪のぽつりと溢した言葉を聞いて、思わず大きな声を出してしまった。
「大学行ってボーダー行っての繰り返し。俺だってデートとか癒しが欲しいワケ」
「ちょっと、おっさんくさいこと言わないでよ」
「うっせ!」
そう言って諏訪は手元のビールを呷る。
今日みたいに、数え切れないくらい諏訪とは何度も2人でご飯を食べてきた。だけど、今までそんなことは聞いたことがなかった。
これは深く聞くチャンスだと言わんばかりに、突き詰める。
「諏訪は…好きな人とかいないの?」
「…おめーには絶対言わねー」
言わない…だなんて、好きな人はいることは認めるんだ。ズキズキと痛む胸に気付かないように、平気を装って。
「なんで!?応援してあげようと思ったのに!」
嘘。本当は応援なんてしたくないけれど。
私にだけ教えて欲しい。諏訪を諦める理由が欲しい。そんな気持ちばかり、ぐるぐると渦巻く。
「……肩ぐらいの髪のヤツ」
「は?」
「ヒント」
「ほ、他には!」
「笑った顔が可愛いヤツ」
「ふんふん……って、候補多すぎ!」
あの子かな。この子かな。頭に浮かんでは消えていく。なんせ該当する子が多すぎる。
「人のことばっか気遣って…お人好しなヤツ」
「そのくせ、俺の気持ちにはひとっつも気付いてねー鈍感なヤツ」
未だ候補は絞れないけれど、本当に誰かのことを思い浮かべて言っている言葉が続く。それだけその子のことを見てる証拠であり、好きなんだろうなぁ。
「酒が弱いから、お子ちゃまみたいにジュースばっかちまちま飲むヤツ」
頬杖をついて、諏訪はこちらを見ながらそう言った。
諏訪と違って、私はお酒が弱いのであまり飲まない。それでも諏訪はご飯だ、飲みだと誘ってくれる。
それに手持ち無沙汰が苦手で、度々グラスを持ってジュースに口をつけてはちょっとずつ飲んでいる。いつもそうだ。それを見透かされたような言い方に鼓動が早まる。
そんなのまるで、私のことを言っているような。
「…もしかして、私を彼女にしたかったりする?」
「グッ、ゴホッ!!」
なんでもないように努めながらそう言えば、ちょうどビールに口をつけたところだった諏訪は、盛大に咽せた。
「おめー、よくそんなこと言えんな…」
「…そういうことじゃないの?」
「そうだけどよ…」
そうなんだ。ちげーよ、と言われれば笑って誤魔化す逃げ道を心の中で作っていたけれど、そんな必要は無くなってしまった。
「そんな素振り全然なかったのに…宅飲みに呼ばれたこともないし」
「宅飲みィ?」
「諏訪の家で宅飲みした〜って言ってた女の子がいたからさ」
以前、そう話していた女の子を見たことがある。何度も私とご飯は行くくせに、宅飲みに呼ばれたことはない。でも他の女の子は宅飲みに呼ぶんだ。そういう風に見られてないんだなって。
まぁ、お酒が弱いから仕方ないのかもしれないけれど。でもお酒が弱いのに普段の飲みには誘ってくれるなら、宅飲みにも誘ってくれてもいいのでは、と思ってしまうのだ。
「あ〜…あれはダチの彼女とかが押し掛けてきたんだよ。ちょっと飲んでたか…?でもすぐ帰したわ」
「じゃあ、私とは?」
「おめーだけはぜってェーに家にあげねェ」
「なんで!?好きなんじゃないの!?」
「うっせ!襲うぞバーーカ」
ぐっと言葉に詰まる。諏訪はふん、と鼻息を荒げながらビールに口を付けた。
なんだか今日は、諏訪も私と同じようにちまちまとビールに口を付けているような…?こういう話になって、少しは緊張しているのだろうか。
「それってそういうこと…?」
「ソーイウコト」
かっと顔が熱くなる。気恥ずかしくて、どこか甘く緩い雰囲気を笑い話に変えるべく、口を開く。
「ふっ、普通は好きだから、家に呼ぶんじゃないの?」
「襲わねー自信がねェから呼ばねェんだよ」
「た、大切にしてくれてるんですかね…?」
「そんだけおめーのこと好きだってことじゃねェの」
バーカ。そう照れ隠しのように付け加えられた言葉。
墓穴を掘った。笑い話に変えるどころか、雰囲気はよりくすぐったいものになっていく。
「んで、おめーは?」
「えっ?」
「宅飲みだなんだ気にしてたっつーことは、そういうこと?」
「そ、そういうこと…です」
下を向き、テーブルの上でグラスを両手で持ちながらそう言った。
ちらりと盗み見た諏訪は、ふーんと言いながらも目を細めて笑っている。
「んじゃまァ、お互い“そういうこと”ってのが分かったっつーことで……宅飲みにお呼びするとしましょうかねェ?」
そういうこと、で私の気持ちが伝わったのか心配だったけれど、それも杞憂に終わったようだ。
目の前の諏訪はそう言って、意地悪そうな笑みを浮かべているのだから。