諏訪 洸太郎
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楽しかった大学の飲み会も、そろそろお開きというところ。
二次会はどうする、どこへ行く、という話で持ちきりだ。
諏訪はどうするんだろう。そんな私の視線に気付いたのか、不意に諏訪がこちらへ向いた。そしてそのまま私と隣の男の子の間に来て、割り込むように腰を下ろした。
隣の男の子はなんだよ諏訪〜!と言いながらもそのまた隣の女の子へ近付いたことを良いことに、そちらへ話しかけていた。
「うわっ、お前もしかして酒飲んだ?」
「飲んだよ〜」
「バッカお前、弱いくせに飲むなよ!顔真っ赤だぞ!」
「マジで〜ちょっとしか飲んでないのに」
ふわふわとした気持ちであははと笑えば、それを聞いた諏訪は隣でブツブツと言いながら店員さんにお冷を頼んで、飲んどけと言うように目の前へと差し出してくれた。
「二次会行くんか?」
用意してくれたお冷を一口、二口と飲んでいると諏訪が頬杖をつきながらそう言った。
「う〜ん、どうしようかな」
「酔っ払いは帰れ帰れ。送ってくから」
「ホント?」
「お前が思ってるより結構顔赤いからな。大人しく帰って寝とけ」
「はぁい、お母さん」
「誰がお母さんだ」
そう言って歯を見せて笑ってくれた諏訪。それがなんだか嬉しくて、にやける顔を誤魔化すようにもう一度お冷に口をつけた。
ぞろぞろと皆でお店の外に出た後、男子の輪にいた諏訪が私の隣へと立つ。
「俺らはここで帰るわ。お先〜」
「お先で〜す」
そう言った私達に、何人かの視線が注がれる。
「送り狼になるなよ諏訪〜!」
「誰が酔っ払いに手出すか!バーカ!」
諏訪はそう言っていたけれど。なんだ出してくれないんだ、と少し残念な気持ちになったことを私の隣を歩いているこの男は知る由もないだろう。そして、私が想いを寄せていることもきっと。
「お前、飲み会でもあんまり酒飲まなかったはずだよな?どうした急に」
「だって…諏訪が好きなもの、私も楽しみたい」
お酒が強い女の子は、諏訪とお酒の話が出来る。麻雀の出来る男の子は諏訪と麻雀が楽しめる。
でも私はお酒も弱いし、麻雀も出来ないから。諏訪の好きなものの話は出来なくて。
さっきの飲み会でも女の子とお酒の話で盛り上がっていた諏訪を見て、羨ましくて切なくなって、滅多に飲まないお酒に手を出したのだ。
少し気持ち悪くもなったりしたけれど、結果的に諏訪に今、送ってもらってるから良かったのかもしれない。
「…誰しも苦手なモンはあるだろ。無理すんな」
「…はーい」
「酒は飲まんでいい。ジュースでも飲んでろ、お子様め」
「じゃあ、タバコは?」
「タバコ…ねぇ」
少し考えるように上を向く諏訪。そして諏訪の顔が近付いてきたと思えば、掠めるように唇が触れた。
驚く私を見て楽しそうに目を細めた諏訪は、もう一度私に唇を重ねた。
だんだんと深くなっていった口付けもすぐに離れていってしまった。名残り惜しいと思ってしまう程に。
「これで我慢してろ」
「…苦い」
「さっき一本吸ったからな」
「酔っ払いに手出さないんじゃなかったの?」
「手は出してねーだろ」
両手を上げ、ひらりと手を振りながら踵を返して諏訪は歩いていく。
「屁理屈だ〜。じゃあ、私から手出しちゃお」
先を歩いた諏訪に追いつき、手に触れる。握り返してくれたと思ったら、そのまま絡め取られて恋人繋ぎになった。
手から伝わってくる熱が心地良くて、諏訪も私と同じ気持ちだったら良いなって。
「…好きだよ、諏訪」
「…だろうな」
目を細めてフッと笑った諏訪。
きっと今日は送り狼になってくれないだろうから、とりあえずは家に帰るまでに好きだと言わせようと思う。
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