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「ミョウジ、これやる〜」
「あ、ありがとう」
そう言って太刀川から差し出されたのは、以前私が好きだと言った紅茶のクッキー。ちょうど買い溜めしていたものを食べきってしまったところだったので、ありがたく受け取る。
太刀川はこうやって、コンビニのお菓子から有名店の焼き菓子まで、様々なお菓子を私にくれる。
事あるごとに貰い過ぎて申し訳ないくらいには。お返しに、と私も太刀川の好きな餅菓子を渡しているけれど貰っている方が多い。
「ねぇ、太刀川。いつももお菓子くれるけどさ…その、お金とか大丈夫なの?」
「あー?お金?俺を誰だと思ってんの?」
「No.1攻撃手様…」
「そ!だから余計な心配はムヨー」
そう言って歯を見せて笑う太刀川。嘘は付いてないし、無理してる様子もない。そのことに少しだけほっとする。
「私、貢がれちゃってるね」
「わはは!貢いでんな、俺」
愉快そうに笑う太刀川に私も釣られて笑う。
「でもさ、なんでそんなにお菓子くれるの?」
「ミョウジの喜ぶ顔が見てーから」
思いもよらない返事に一瞬時が止まる。もしかして揶揄われてる…と思ったけれど、太刀川にそんな様子はなく、先程よりも落ち着いた笑みを見せている。
「美味しかった〜って毎回律儀に感想もくれるし、あと…あれだ。好きなヤツの胃袋掴めって言うじゃん?」
またもや予想外の言葉に、目を見開く。そして理解した途端に、カッと身体が熱くなった。やばい。今とっても顔が赤い気がする。
でも胃袋掴めって…ちょっと使い方が違うのでは、と少しだけ冷静になる。
「えっと…どちらかと言うと太刀川にじゃなくて、お菓子に掴まれてるけど…」
「え、マジ?」
「だ、だって太刀川が作ってる訳じゃないじゃん」
「そりゃそうだ」
でも。“好きなヤツ”って言ってくれて嬉しかった。私も同じ気持ちだったから。
「でも、心は掴まれてる…かも?」
へぇ、と目を細める太刀川。
「ま、俺はずっと前からだけどな」
そう意地悪そうな笑みを浮かべた太刀川。
まったくどこで張り合ってるんだか、と私も笑った。
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