≠一方通行
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迷子になっているであろうゾロが行きそうな方向へと歩を進める。他の人とは反対の、誰も行かなそうな道。
どうやら私の予想は当たっていたらしい。少し開けた場所、おそらくはゾロが木を切り開いて開けた場所にゾロは立っていた。ふふん、と自慢げな顔をしながら。
「やっと見つけた!この迷子!」
「はぁ?それはお前らだろうが!」
追いかけるのに息も絶え絶えの私に反して、ゾロは息ひとつ乱さず、それに木まで切っていた。元気なものだと感心しながら、ふぅと深呼吸する。
ゾロが怪訝な顔をして視線を寄越した。
「お前どんな道通ってきたんだよ。葉っぱまみれじゃねぇか」
「え、ほんと?」
確かに通って来た道は木々が生い茂っていた。背丈ぐらいのものもあって、うまく避けてたつもりだったけれど。
頭を左右に軽く振って、髪に、服に付いていた葉っぱを手ではたき落として行く。
「取れた?」
「まだ付いてる」
ゾロの手がこちらに伸びてくる。取ってくれるのだろう。目を閉じて頭を差し出す。
ほんの少しだけ髪に手が触れ、そのあとふわりと葉っぱが取れていく感触があった。
「…取れたぞ」
前に立っているゾロではない声が、横から聞こえて来た。
目を開けて声のした方へと顔を向ければ、そこには手に葉っぱを持ったローさんがいた。
「あ、ありがとうございます…」
ん、と言ってローさんは持っていた葉っぱをひらりと落とす。てっきりゾロかと思ったのに、思いもよらない第三者でびっくりした。
「…へェ」
感心のような、驚きのような。そんな声をゾロが上げた。その口元は笑みを浮かべている。
そんなゾロにローさんは、睨みつけるような視線を向けた。
「何か言いたそうだな、ゾロ屋」
「いやぁ、なに。お前もそういうこと思うんだなってよ」
「別に、お前の勘違いだろ」
「はっ。俺の言ってること、充分分かってんだろ?その時点でそうだろうが」
よく言うぜ、と言ったゾロに大きな舌打ちで返すローさん。
目の前で繰り広げられている会話に、2人の顔を交互に見る。2人には通じていて、私には分からない。
頭にはてなを浮かべたまま聞いていた私に、ちらりと視線を寄越したローさん。
少しだけため息を付いてから、話を変えるように「ところでお前、とてつもない方向音痴なのか」とゾロへと向き直った。