≠一方通行
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ゾウに向かう途中で襲われた嵐。何かに掴まっていなければ、放り出されそうになるほどの強さ。
バルトロメオくんの船には航海士がいないらしく、少しのパニックに襲われる。
海に、水に濡れて危ないのは能力者のルフィとロビン。でもゾロが近くにいるからきっと大丈夫。なら、私は自分自身のことを。
「ナマエ!」
ローさんが私に向かって手を差し伸べている。助かった、とローさんの方へと手を伸ばして…ぴたりと一瞬止まってしまった。差し出されたその手を取ることが出来なかった。
大きな荒波がひとつ、こちらに向かって来た。逃げられない、と覚悟をして目を閉じた。
「何してんだトラ男!能力使えねェのか!?」
「…チッ」
次に目を開けた時には、ローさんの腕に抱えられていた。能力を使って、何かと私を入れ替えたのだろう。
私が元いた場所には、波に攫われた跡が残っていた。あのままあそこに居たら私は、きっと海に。
あの波を最後に、徐々に嵐は静かになっていった。船のあちこちで安堵の声が上がる。
力の入らない私をゆっくりと立たせてくれたローさん。離されると思っていた手は、いつまで経っても離れない。
「お前、あの時なんで」
苦虫を噛み潰したような顔でローさんはそう呟いた。なぜ手を取らなかった、と言いたいのだろう。
私自身にもよく分からなかった。今までのローさんとの思い出が走馬灯のように頭によぎって。答えをもらえていないあの告白も。
それが今回のことに繋がる訳ではないのに、本当にこの手を取っていいのか分からなくなってしまった。
そんな返答で分かってもらえるはずがない。なんて言ったらいいのか分からずに目を逸らした。
「…嫌になったか」
「それは違います!」
そういうことではない。それは違うとはっきり目を見て伝える。
ローさんは答えを求めて、こちらを真っ直ぐと見る。私は唇をぎゅっと噛み締めてから、ゆっくりと口を開いた。
「納得してもらえる答えは持ってないです。でも…あのローさんの手を取っていいのか分からなくなってしまったんです」
「…取ればいいんだよ。お前が生き延びる為だろ。なんでも使え」
「…はい」
答えたはずだ。私ももう1人でも立てる。でもローさんは未だに手を離してくれなかった。
そのまま、行くぞと船内へと向かって歩いて行く。手を離そうと力を緩めれば、ぎゅっと握られてしまう。
「あの、どこに」
「…濡れてる。シャワーでも浴びてこい」
「…はい」
側から見れば、まるで迷子の妹を兄が手を繋いで前を歩いているように見えるかもしれない。でも、その実迷っていたのは兄の方で。
今もローさんの後ろ姿は、何かに迷っているようにも見えた。
バルトロメオくんの船には航海士がいないらしく、少しのパニックに襲われる。
海に、水に濡れて危ないのは能力者のルフィとロビン。でもゾロが近くにいるからきっと大丈夫。なら、私は自分自身のことを。
「ナマエ!」
ローさんが私に向かって手を差し伸べている。助かった、とローさんの方へと手を伸ばして…ぴたりと一瞬止まってしまった。差し出されたその手を取ることが出来なかった。
大きな荒波がひとつ、こちらに向かって来た。逃げられない、と覚悟をして目を閉じた。
「何してんだトラ男!能力使えねェのか!?」
「…チッ」
次に目を開けた時には、ローさんの腕に抱えられていた。能力を使って、何かと私を入れ替えたのだろう。
私が元いた場所には、波に攫われた跡が残っていた。あのままあそこに居たら私は、きっと海に。
あの波を最後に、徐々に嵐は静かになっていった。船のあちこちで安堵の声が上がる。
力の入らない私をゆっくりと立たせてくれたローさん。離されると思っていた手は、いつまで経っても離れない。
「お前、あの時なんで」
苦虫を噛み潰したような顔でローさんはそう呟いた。なぜ手を取らなかった、と言いたいのだろう。
私自身にもよく分からなかった。今までのローさんとの思い出が走馬灯のように頭によぎって。答えをもらえていないあの告白も。
それが今回のことに繋がる訳ではないのに、本当にこの手を取っていいのか分からなくなってしまった。
そんな返答で分かってもらえるはずがない。なんて言ったらいいのか分からずに目を逸らした。
「…嫌になったか」
「それは違います!」
そういうことではない。それは違うとはっきり目を見て伝える。
ローさんは答えを求めて、こちらを真っ直ぐと見る。私は唇をぎゅっと噛み締めてから、ゆっくりと口を開いた。
「納得してもらえる答えは持ってないです。でも…あのローさんの手を取っていいのか分からなくなってしまったんです」
「…取ればいいんだよ。お前が生き延びる為だろ。なんでも使え」
「…はい」
答えたはずだ。私ももう1人でも立てる。でもローさんは未だに手を離してくれなかった。
そのまま、行くぞと船内へと向かって歩いて行く。手を離そうと力を緩めれば、ぎゅっと握られてしまう。
「あの、どこに」
「…濡れてる。シャワーでも浴びてこい」
「…はい」
側から見れば、まるで迷子の妹を兄が手を繋いで前を歩いているように見えるかもしれない。でも、その実迷っていたのは兄の方で。
今もローさんの後ろ姿は、何かに迷っているようにも見えた。