≠一方通行
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▼謎時間軸
うーん、眠たい。
昨日、遅くまで本を読んでいたせいだ。ページを捲る度に話の続きが気になってしまって、ふぅと清々しい気持ちで読み終えたと思えば、もう朝日が登り始めている頃だった。
お昼寝をしようとブランケットを抱え、アクアリウムバーへと向かう。今は誰も居ないはず。
静かな中に響く水音と魚が泳ぐ音が癒しの音楽になって、心地良い場所なのだ。
アクアリウムバーへと続く扉を開ける。そこには先客が。ソファに腰掛け、本を読んでいるローさんがいた。
うーん、ここでは眠れそうにないな。
「お前は」
踵を返した同時に掛けられた声。振り向いてもローさんは本に視線を落としたまま。
「…お前からは俺の隣に座らないんだな」
ゆっくりとその言葉を噛み締める。彼の言う通り、彼から私の隣に座ることはあっても、私からローさんの隣に座ったことは今までに一度もなかった。
だって意識してしまうから。忙しない心臓の音に、熱くなっていく身体。それが気付かれてしまわないだろうかと。
隣の彼の仕草ひとつが気になって仕方がなくなってしまうからと。
どこか拗ねたように聞こえたそれに、考えあぐねる。意を決して、ローさんの隣に腰掛けた。拒絶の言葉はなく、安堵する。
「この本、読んでもいいですか?」
「…あぁ」
机の上に積み上げられた本に手を伸ばす。こんな状況で眠れるはずがない。本を読んで気を紛らわすか、と思っていたけれど。
これ医学者だ。内容が難しく、まったく頭に入って来ない。首がかくかくと揺れ、睡魔が襲ってくる。
肩に伝わる優しい温もりに身を任せ、目を閉じた。
そっとブランケットを掛けられた優しさも、満足そうにしていた彼の顔も、私は知る由もないのだ。