トラファルガー・ロー
▼ Name change!
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▼学パロ
「好きな人、いるんだって!?」
授業が終わると同時に、ぐるんと後ろを向く。それに少し驚いたトラファルガーくんは、私の言葉を聞くなり眉間の皺を深くさせ、額に手を当てた。
おそらく、すでに色んな人から問い詰められたのだろう。そして、呆れたように大きなため息をついた。
『トラファルガーくんに好きな子がいるらしい』
学校に着くなり、友達から聞いた話。朝からその話題で持ちきりだった。
最初に言い出したのは誰だったのか分からない程、あっという間に広がっていったようだ。
けれど、肝心の相手の名前は「あの子かもしれない」と推測の域を出なかった。
「誰なの!?」
「さぁ、誰だろうな」
頬杖を付いて、にやりと笑ったトラファルガーくん。
好きな人なんていない、と否定はしなかった。なら、トラファルガーくんに好きな子がいるのはどうやら本当のようだ。
同じクラスのトラファルガーくんとよく喋っている女の子。生徒会に入ってる女の子。日直の女の子。他のクラスの美人な女の子。可愛い女の子。スポーツが得意な活発な女の子。
どの名前を言っても、トラファルガーくんは「違う」の一点張りだった。
偶然、席が前後になってよく話すようになった関係で、私が一方的に好きになっただけ。
もしかしたら、なんて淡い期待を抱き続けるよりは、トラファルガーくんが誰が好きなのか分かっていた方が、いくらか諦めが付くというのに。
「教えてくれる気ないでしょ」
「“自分”って考えはねェんだな」
「えっ?」
“自分”?もしかして、トラファルガーくんは自分が好きなのか…いやありえるなぁ。トラファルガーくん言いそうだもん。
と思って、首を傾げながらも人差し指をトラファルガーくんに向けると、ふんと鼻で笑われてしまった。
「ばーか、お前だよ」
え、という声は形にならなかった。その真意を問い正したいのに、チャイムは鳴るし次の教科の先生がドアを開けて教室へと入って来る。
トラファルガーくんは早く前を向けとでも言うように、しっしっと手で追い払ってくる。この人、本当に私のこと好きなの!?
案の定、授業中は後ろが気になって気になって、先生の声が右から左へ。もう授業どころではなかった。
授業が終わったら、トラファルガーくんに逃げられないようにすぐに後ろを向いて、さっきのことを聞いてやるんだ。
本当に私のこと?いつから?どこが?聞きたいことがいっぱいある。
いつのまにか来ていた授業の終わりを知らせるチャイムにびくりと肩を震わせれば、後ろの彼がふっと笑った気がした。