トラファルガー・ロー
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▼ハートの海賊団クルー夢主
「ナマエ」
甲板で作業をしていたところ、島へと降り立っていたキャプテンが帰ってきたのか、名前を呼ばれる。
振り向いたと同時に投げられた小さな箱。条件反射のように出た両手で、慌ててキャッチする。
なんですかこれ、と問いかけようと顔を上げれど、キャプテンの姿はもうなかった。
ここで開けるのもどうかと思い、自室に戻る。
可愛らしいリボンで包装された小さな箱。リボンを解き箱を開ける。そこには、ハートを型取ったシンプルなデザインの指輪が入っていた。
「キャプテン!」
キャプテンの部屋をノックもなしに勢いよく開く。
キャプテンはソファに座って本を開いていたけれど、まるで私が来ることが分かっていたかのように特に驚きもせず、ぱたんと本を閉じた。
そのキャプテンの隣に座り、先程の小さな箱を突きつける。
「なんですかこれ!」
「やる」
「やる、って…なんかの記念日でしたっけ?」
むむむ、と頭の奥から記憶を捻り出すように考える。特に思い当たるような記念日もなく、褒美を貰えるような特別な何かをしたような覚えもない。
「別になんでもねェよ。ただの気まぐれだ」
「えぇ〜ローが気まぐれでこんな良いものをくれるなんて…明日槍でも、いや、海王類でも降る?」
「お前…随分な言いようだな」
だって仕方がないと思う。こんなに良いものを貰って、気まぐれだけで済まされるなんて。
嵌める指によって変わる意味。ローは一体どこに嵌めて欲しいんだろう。
まるで、ローに繋ぎとめられたように感じたこの指輪を、この想いを、私の中でどう処理すれば良いか分からなかった。
「…理由が欲しいのか?」
小さな箱を見つめて、ローはそう言った。それに私はこくりと頷く。
ローは右手で箱から指輪を取り、その反対の手で私の左手をそっと取った。
何も言わず、流れるように私の薬指に嵌められた指輪。
顔を上げて何か言おうも、どこか優しげな瞳で私の手を見ているものだから、言葉が詰まって何も言えなかった。
「これで満足か?」
「…意味分かってる?」
「当たり前だ。本物はまたいつか、な」
薬指に嵌められた指輪。約束された、いつか。
きっとそういうことだと思っていいよね。
嬉しくて、ローの左手にそっと触れる。この刺青の入った手に、指に、いつか指輪が嵌るのかと想像すると、少し笑ってしまった。
「指輪、似合わないね」
「言ってろ」
ふっと笑ったローに、軽く額を小突かれる。その笑みは私と同じ未来を描いているのだと思うと、嬉しくなった。