トラファルガー・ロー
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▼麦わらの一味夢主
見上げなければならない高さにある顔を、ちらりと覗き込む。案の定、眉間には深い皺が刻まれていて「なんで俺が」と思っているのが、ひしひしと伝わって来る。
航路の途中で物資の補給だと立ち寄った島。今回は私が買い出し担当となってしまった。それだけならいい。
なんと、今にも島へと飛び出しそうなルフィを荷物持ちとして連れて行けというのだ。
荷物持ちとしてはとても頼りになるけれど、あちらこちらへと連れ回されるのが目に見えている。そんな未来に、少しため息をついた。
そして、“この船に乗っているなら”“お目付役だ”と言わんばかりに、ローさんも買い出し当番へと割り当てられた。
「お!あっちからいい匂いがするぞ〜!」
「ちょっと待って、ルフィ!」
早速、駆け出そうとするルフィの腕を掴む。ゴムなのでお構いなしに伸びていく腕をちょっと引っ張ったり、捻ったりしてルフィを自分の隣へと戻す。
「後でその道通るから、ね。今はこっち」
「ちぇ〜」
なんとかルフィを抑えたまま、目当てのものを買うためにお店を回っていく。順調にルフィの手には荷物が増えていった。
ローさんに荷物を持たせるのは忍びないと思っていれば、「それ貸せ」と言って私の手から荷物を奪い去ってくれた。とても助かる。
「その手、いつまで掴んでる」
お店を数件回った頃、ローさんにそう言われた。視線の先を辿ると、ルフィの腕を掴んでる私の手だった。
「こうしとかないと、どこかへ行ってしまうので」
「…いつもこうなのか」
「私とルフィが一緒の時はこんな感じですかね…ね、ルフィ?」
「そうだな!」
あ、適当な返事してる。なぜなら、ルフィの視線は屋台の食べ物へと注がれていたからだ。荷物もたくさん持ってくれてるし、後で買ってあげよう。
ローさんは何かお気に召さなかったのか、眉間の皺が増えた。
「とりあえず麦わら屋は俺がどうにかするから、その手を離しておけ」
本当に?と言う目をローさんに向ければ、小さく頷いたので、渋々掴んでいたルフィの腕を離した。
それから、またお店を回る。ローさんはどこかへ行こうとするルフィを、持ち前の反射神経と力強さ、はたまた能力を使って止めていた。有言実行である。
さて、リストにあったものは買ったし、後は船に帰るだけ…と思ったら、ひとつだけ買い忘れがあった。
「ちょっとだけ待っててください!」
ローさんにルフィを任せて、お店へと入る。手早く商品を取り会計をして外に出ると、ローさんとルフィの姿はなかった。
数歩踏み出したところで、腕を取り上げられ宙に浮く。きゃあ、と周りの人がざわめいた。
自分の身体より何倍もある大柄な男が、私の腕を拘束し、悪そうな顔をして笑っていた。
「お前、麦わらとトラファルガーと一緒にいたやつだろ。へへっ、女1人置いてくなんていけねぇよねなぁ」
男はなにやらぶつぶつと言っている。懸賞金だの、人質だの、と。結局ボコボコにされるのはこの男だろうなぁ、とどこか冷めた頭で考えていると、私の名前を呼ぶ声が響く。
そちらに顔を向ければ、騒ぎに気付いたのかルフィとローさんが駆けてきていた。
「ナマエ!」
「ルフィ、助けて!」
ついでに、こいつやっつけちゃって!と言おうとすれば、次の瞬間目の前に広がる景色が、ぱっと変わる。
掴まれていた腕の感触はなく、大柄な男は見事にバラバラにされていた。おそらくローさんの能力だろう。
肩を大きな手で抱かれ、引き寄せられる。触れる身体に恐る恐る見上げてみれば、ローさんが青筋を立てて、ご機嫌ななめの様だった。
「お前…なんで俺の名前を呼ばねェ」
「えっ、あの、同盟相手ですし、こういうのは迷惑かと…?」
「同盟なんて関係ねェ。好きな女ぐらい守れる強さはある」
はい!?と大きな声を出してしまった。
こんなときだけ、ずるくないですか。普段、事あるごとに同盟という言葉を持ち出すくせに。
「なんだお前ら、付き合ってたのか!はやく言えよなぁ!」
「ちがっ」
「そうだ」
何を言っているんだ、この人は!
頭の後ろで腕を組んだルフィはニシシと笑い、あいつらにも教えてやろー!と荷物を持って船へと続く道を駆けて行った。
待って!荷物を持って行ってくれるのは嬉しいけれど!
「…どういうつもりですか、ローさん」
「外堀から埋めてやろうかと」
「逃げ道がないじゃないですか…」
「元から逃がす気なんてねェよ」
するりと絡め取られた手が“逃がすものか”と言葉だけでなく行動でも示されたみたいで、頬に熱が集まる。
ちらりと見上げれば、どこか満足そうな顔をしたローさんと目が合った。どうやらこの手も、離してもらえそうにない。
そして船に戻るや否や、「そういうことだ」しか言わないローさんの代わりに、みんなから質問攻めにあったのは言うまでもない。
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