トラファルガー・ロー
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▼麦わらの一味夢主、ロー視点あり
▼本誌微バレあり、書きたいとこだけ書いた感
▼本編と齟齬があるかもご容赦ください
▼本誌微バレあり、書きたいとこだけ書いた感
▼本編と齟齬があるかもご容赦ください
子供たちを見送る、このどこか微笑ましい光景を、あの人はまた怖い顔をして見ているのだろうか。そう思って、ふとした好奇心でちらりと視線を向けてみただけだった。
帽子で目元はよく見えなかったけれど、口元だけは口角を少し上げ、確かに笑っていた。
あぁ、この人もこんな顔をするのだと、それが好きになっていったきっかけだったと思う。
***
「私、ローさんのこと好きです」
輪から外れたところで座っているローさんの隣にゆっくりと腰を下ろす。ドレスローザでの激闘を思い返す、彼の右腕の包帯が目に入った。そう、これからまた、お互いにこういう怪我をする程の目に合うかもしれない。いつ離れ離れになるかも分からない。
なら、気持ちを伝えるチャンスは伝えられる時に。そう思って勇気を振り絞って想いを告げた。
「…お前は麦わらの一味で、同盟が終われば敵だ」
「ですよね、なんとなくそう言うと思ってました」
こちらを向くこともなく、そう言ったローさん。私もローさんから目を逸らし、まっすぐと前を見やった。2人の間に漂う雰囲気とは真逆のような快晴が、空には広がっている。
「ただ知っておいて欲しかっただけなんです。言わないときっと、ローさんには伝わらないだろうから」
「…そうかよ」
「まぁ、自己満足なんですけどね」
そう。良い返事をもらえるとは思ってなかった。ただ知っていて欲しかった。貴方を想う人がいたということを。
「聞いてくれてありがとう、ローさん」
ゆっくりと立ち上がって、背伸びをする。ローさんに背を向けて私は歩き出す。
知っていて欲しかった、なんて嘘だ。出来ることなら彼と思いを通わせたかった。ぐっと唇を噛み締める。
どうか涙よ、まだ流れないで。
***
「知ってんだよ、クソ…」
見ていたのがお前だけだと思うな。少なからず、ナマエからの好意は感じていた。それに気付いたのは、俺もナマエのことが。
大きなため息をひとつ。この持て余した感情さえも吐き出すように。
歩き出したナマエの姿は、逆光でよく見えなかった。
***
告白した後も、ローさんは何もなかったように接してくれた。それがなんだか寂しいような気もしたけれど、気まずくなるよりはいいかと思うしかなかった。
それからはゾウでの一悶着やら、サンジくんの一件、ワノ国での激闘で、ローさんとはよく離れ離れになり、ゆっくりと話す暇もなかった。
「おい」
カイドウを倒し、宴だと騒いでいる頃。ナミやワノ国の人たちと一緒に囲っていたテーブルに、ローさんが現れた。なんだなんだ、と周りの視線がローさんに集まる。
「コイツ、ちょっと借りてくぞ」
そう言って手を取られ、テーブルから立たされる。えっ、待って、私!?
どうぞどうぞ〜!とナミはニコニコとしながら手を振り、私を送り出す。
思いもよらない出来事に呆然とし、引っ張られるがまま、ローさんの跡を付いていく他なかった。
宴の賑やかな声がかすかに聞こえる程、離れたところ。他には誰もいない2人きりの空間で、ローさんは足を止め、こちらに振り向き、向かい合う形になる。
「好きだ」
聞き間違えだろうか。なにかとんでもないことを言われたような気がする。
言われた言葉が上手く飲み込めず首を傾げると、ローさんの眉間に深い皺がこれでもかと寄るのを見てしまった。
「…お前、ふざけてんのか」
「いや、ちょっとすみません。突然のことで頭が…」
「…それとも、もう俺への気持ちはないか」
そんな寂しそうな、辛そうな顔をしないで欲しい。いつかの自分と重なって、胸が苦しくなる。
「なんて答えたら正解なのか、分かりません。私は一度振られていますし…」
今でも好きか、と問われれば好きだ。ローさんに想いを伝えられたことも嬉しい。
でも、一度振られていることもあって、上手くこの感情を飲み込めない。素直に受け取ることが出来ない。
「…あの時から本当は分かってたんだよ、一言言えば済むことぐらい。でも、お前の気持ちを蔑ろにするような言葉ばかり出て来やがんだ」
何かを思い出すように目を伏せ、ローさんは話しを続ける。
「でもこれ以上、うだうだ考えるのはやめた。同盟の目的も達成した。これからはお互いの道を進むことになる。目の届くところに置いても置けねェ」
なら、と言葉を止めたローさん。真っ直ぐとこちらを見るローさんの瞳と目が合う。
これは冗談でも揶揄い半分でもない。あの時と違ってローさんは私と本気で向き合ってくれている、というのが分かる。
「俺はお前が好きだ。ただの1人の男として」
一度合った目は逸されることなく、私を射抜く。
「お前はどうだ」
これがきっと最初で最後の問いかけ。この気を逃したら、私たちは何もなかったかのようにすれ違ったまま、この先を進んでいくことだろう。
「…もう私のこと振りませんか?」
「あぁ」
「…私も大好きです」
そう伝えた途端、手を引かれローさんに抱き締められる。ぎゅっと回された手に込められた力とは裏腹に、とくんとくん、と優しく聞こえるローさんの心音がとても心地良かった。
***
「それにしても、ローさんはいつから私のことを?」
パンクハザードでの一件。最後、船を見送る時、泣いて笑う子供たちや海兵たちと同じように、涙を流していたナマエ。
大袈裟だと思う程、涙はとめどなく溢れ、でも笑顔は絶やしていなかった。
他の奴らとなんら変わらないのに、何故かその光景が目に焼きついて離れなくて。きっとそれがきっかけだった。
「…覚えてねぇよ。そんなこと」
いつか答え合わせをした時、2人とも同じことがきっかけだったと笑い合うのはまた別のお話。