伏黒 恵
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うーん、困った。
次の任務の話をしようと、伏黒くんを訪ねようとしたものの、1年生達と話が盛り上がっている中、声を掛けるのは気が引ける。
そして、そんな伏黒くんに想いを寄せる私も。伏黒くんの隣に居る、釘崎さんを羨ましいと思ってしまう自分も。困った、困った。
「ナマエー」
急に声を掛けられ、ギャーッ!とお化けを見たかのような声を出してしまった。
振り向くと、五条さんが「大袈裟だなぁ」とケラケラ笑っていた。
「もう、急に声掛けないでくださいよ」
「何回か声掛けたんだけど。ナマエ、全然気付いてくれなかったんだよ?」
「え、そうなんですか。すみません」
そう言ってぺこりと頭を下げる。「別にいいよ」と五条さんはヒラヒラと手を振って見せた。
「それより何?悩み事?」
優しく声を掛けてくれているが、この人に言ってしまって良いのだろうか。答えはNOだ。絶対、面白がられる。
「恵のこと見てたでしょ」
確信を突かれ、思わず咳き込んだ。
言っても言わなくても、この人にはすでにバレバレだった。それなら、いっそのこと相談してみるのもありだろうか。
「…五条さんは、歳の差のある恋とかどう思います?」
高専を卒業して、補助監督になって、呪術師と任務を共にした。
そして、その中で出会った伏黒くん。
クールでいて、自分をしっかり持ってて、そんなところに惹かれていった。
でも、所詮は補助監督と学生。歳の差もある。学生で1年生なんて、これからが青春だ。出会いもたくさんある。私が踏み込んで良いところなんて、ない。
「好きになったら、歳の差なんて関係ないよ」
「そう言うもんでしょ、好きになるってさ」とニコリと笑って言う五条さんに、この人もこんなことを言うのか、と意外な感想を抱いた。
「五条さん、割とロマンチックな事言うんですね」
「ふふーん、でしょ?もっと褒めていいよ?」
「ふふ、台無しです」
「ミョウジさん」
五条さんと笑い合っていると、後ろから聞き慣れた声が聞こえた。と同時にドクンと大きく心臓が脈打つ。この声は、伏黒くんだ。
「俺に用、あったんですよね」
「え、あ、うん!」
勢いよく返事はしたものの、伏黒くんに話があるって言ったっけ?と疑問を抱く。まだ話しかける前だったはずだ。
隣に居た五条さんは「なら、僕はこれで〜」と私の軽く頭を撫でて、去って行った。それを伏黒くんはムスッとした顔で見ていた。
「…すみません。さっきの嘘です」
「え?」
「俺に用があるって」
「あぁ!でも、本当に話があったんだよ。話しかけてくれて助かった」
そう言えば、伏黒くんは少し驚いた顔をした。それも一瞬で、また先程の不機嫌そうな顔に戻ってしまった。
「…ちなみに、さっき何の話してたんですか」
「え、あー、ちょっと相談に乗ってもらって…」
「悩み事があるなら、俺も聞きます」
話を聞いてくれるのはとっても嬉しいけれど、本人に言ってしまっても良いのかとも悩んでしまう。
でも、直接聞けるのは今しかないのでは、とも思って意を決する。逃げ道を用意しながら。
「えっと…友達がね、恋愛のことで悩んでるんだけど…伏黒くんはさ、歳の差とか気にするタイプ…ですか?」
「俺は…相手が気にしないなら。だって好きになったモンはしょうがないでしょ」
そう言って、真っ直ぐにこちらを見る伏黒くんと目を合わせていられなくて、顔を逸らした。
「ミョウジさんは…どうなんですか」
「え?」
「歳の差、気にしますか?」
「私も…相手が気にしないなら…」
「なら、俺と付き合ってくれませんか」
思いもよらぬ言葉に、勢いよく伏黒くんを見る。先程と変わりなく、真っ直ぐに私を見つめる瞳と目が合った。
「好きです、ミョウジさん」
「私で、いいの…?」
「好きになったモンはしょうがないでしょ」
そう言った伏黒くんは、優しく笑った。
嬉しくて泣きたくなって、声が震える中、私も想いを告げる。それを聞いた伏黒くんは、そっと私を抱き締めてくれた。
お互いに歳の差なんて気にする必要はもう、ないよね。