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「危ない!!」
シムリア星人達とキャッチボールを通しての交流会。休憩用のテントの下で、飲み物や救急箱を用意しながら、それぞれが穏やかに過ごしているのを眺める。
そんな和やかな雰囲気の中、突如として似つかわしくない声が響いた。
その方向へと振り向いた途端、目の前に迫るボール。額に衝撃が走る。
「いったーーーっ!!?!」
額を摩りながら、痛みに身体を少し丸めていると、マルくんとクロスくん、真剣くんに憂花ちゃんが駆け寄ってきた。
「すまない!大丈夫か!?」
そう言って心配そうに私の顔を覗き込むマルくん。ということは、あのボールを投げたのはマルくんだったのか…。
4人に話を聞けば、最初はゆるくキャッチボールをしていたらしいが、ヒートアップして本気で投げ合っていたようだ。その最中に手が滑りマルくんの投げた豪速球が私に向かって…ということらしい。
「すみません…」
「本当にすまない…」
「マルくん見て?第三の目、出来てない?大丈夫?」
額を摩りながら、場を和ごますようにマルくんに問い掛ける。どこか冷ややかなクロスくんと真剣くんの目には気付かないフリをする。
「待って、開きかけてるかも…?」
「それは大丈夫だぞ!」
冗談にノッてくれた憂花ちゃん。対照的に心配ないと言わんばかりに元気よく答えたマルくん。それに、ふふっと笑みが溢れる。
「だが本当にすまない…」
再度、そう謝ったマルくんの手が私の前髪を掻き分け、額を撫でる。
「血、出てない?」
「あぁ。出ててないが赤くなってる」
「そ、そっか」
真剣な顔でそっと額を撫でられるものだから、少しドキッとしてしまった。それを誤魔化すように少し離れて、救急箱を取りに行く。
「申し訳ないんだけど、誰か手当してくれない?」
自分じゃ見えないからさ、と笑って救急箱を手に持ち上げながら言う。まさか用意していた救急箱を自分に使うことになるとは思わなかったな。
「私が…」
「後は私が手当しよう」
いつの間にやらテントの下に入って来ていた宇佐美さんがそう言いながら、私の手からそっと救急箱を取り上げた。
「キミたちはもう少し楽しんでくるといい。こんな機会は早々ないからな」
「…お言葉に甘えて」
そう答えたクロスくんが、ぺこぺこと謝るマルくんを連れて行った。続いて真剣くんも少し申し訳なさそうに軽く会釈をしてき、最後に憂花ちゃんがニヤニヤしながらテントの下から出て行った。
「怪我をしたのは?」
「あっ、えっと、額です」
「ふむ…赤くなっているな」
背を向けてテーブルの上で手当の準備をしている宇佐美さんに座るよう促され、置いてあったパイプ椅子に腰を下ろす。
テントの下に残ったのは、宇佐美さんと私だけ。近付く距離に胸の鼓動が高まっていく。
緊張しているのを悟られないように口を開く。そういえば、宇佐美さんはジャバロマさんとキャッチボールをしていたはずだ。
「ジャ、ジャバロマさんは?」
「あぁ、少し待ってもらっている」
グラウンドにいるであろうジャバロマさんの姿を探す。すぐに見つけることが出来たジャバロマさんは後ろで手を組みながら、ニコニコとこちらを見ていた。
「すみません。私の不注意で…以後気を付けます」
「キミのせいじゃない。慣れないキャッチボールに、ヒートアップするマル達、色んなことが重なって起きた事故だ。…だが、そうだな」
そう言って言葉を区切った宇佐美さん。どうしたのかと見上げれば、真っ直ぐとこちらを向いている瞳と視線がぶつかる。
「私以外の男に、触れられないように」
頬を軽く撫でられ、先程マルくんに触られた時のように、前髪を掻き分け額を撫でられた。
その言葉の意味を深く考える間もなく、真剣な眼差しから逃げられず、反射的に頷いてしまう。
「は、はい…」
「いい子だ」
フッと優しい笑みをこぼして、少し頭を撫でてから、宇佐美さんは屈んでいた身体を起こす。
いつの間にやら、手当は終わったらしい。
「これで、少しの間冷やしているといい」
クーラーボックスに入れてあった保冷剤にタオルを巻いたものを受け取る。ひんやりとして気持ちいい。
「もし頭が痛くなったり、体調が急変するようであればすぐ知らせるように」
「は、はい。あの、ありがとうございます!」
「無理はするなよ」
宇佐美さんは優しく微笑んでから、待たせてしまっているジャバロマさんの元へと向かった。
宇佐美さんが居なくなり緊張の糸が切れ、まるで呼吸を思い出したかのように、息を吸って吐いて深呼吸をひとつ。
同時に脳裏に巡る、先程の宇佐美さんの瞳と言葉。
額の冷たさなんて忘れてしまうぐらいに、身体が、触れられた頬が、熱い。
あれはどう意味だったんだろう。私の都合の良いように受け取ってもいいのだろうか。
そう考えながら、ジャバロマさんの元へと小走りで駆ける宇佐美さんの後ろ姿をずっと見ている他なかった。
*******
『いったーーーっ!!?!』
「……」
「心配でしょう?私はここで待っていますので、様子を見に行ってあげてください」
「…すみません。お心遣い、感謝いたします」
「…いいものですね〜。どの星でも、愛は変わらない」
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