夏油 傑
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▼高専時代¬離反if
「ナマエ、これプレゼント」
お昼休み、突然私の元にやってきた傑はそう言って、可愛いらしく包装された小さな箱を机の上に置いた。
「…今日、何かの日だったっけ?」
「何の日だと思う?」
うーん、と考えを巡らせる。私の誕生日でもない、私の入学した日…?絶対違う。
いくら考えても、プレゼントをされるような理由を見つけられない。中身を見れば、ヒントを得られるだろうか。
「ね、開けてもいい?」
もちろん、と頷いた傑を見て、丁寧に包装を解いていく。小さな箱から現れたのは、シルバーリングだった。
「…傑、本当に今日何の日?」
「今日はね、求婚の日なんだよ」
きゅう、こん…?
それを聞いた途端、頭の中に疑問符がたくさん浮かぶ。そうだ、と思い付き、取り出した携帯で調べた。球根でもなく、求婚の日…?
近くに座っていた悟はゲラゲラと笑い始め、硝子はこちらに携帯を向けている。待って、ムービー撮ってるでしょ、それ。
「あの、求婚どころか、私達まだ付き合ってもないよね…?」
「そうだね」
だから、ナマエ。と、にこにこと笑みを絶やさなかった傑が、真剣な顔つきでこちらを見つめてくる。
「結婚を前提に、私と付き合って欲しい」
・
・
・
「ナマエ、そろそろ寝ないと明日…いや今日か。今日に響くよ」
「だって、なんだか落ち着かなくて」
あれから数年後、私達は本当に結婚する。
明日の結婚式に備え早めに寝ようと、2人でベッドに入るもなんだか寝付けなくて、傑と話していたうちに日付を跨いでしまったようだ。
「ちょうど、あれから5年経ったんだね。もう本当びっくりしたんだから、あの時」
「ごめん、ごめん」
くすくすと笑う傑。言葉で謝ってはいるが、全然反省はしてないだろう。今でもあの時のことは、悟にも硝子にもネタにされる。
「今だからこそ言えるけど、私も周りが見えてなかったなと思うよ」
「そうなの?」
「あの頃はナマエのことしか見てなかったからね」
優しい手つきで髪をとかされる。
変わらず私と傑の手には、あの時の指輪がきらりと輝いている。どうやらペアリングを買っていたらしく、その行動力が逆に恐ろしい。
「傑」
「なんだい?」
「…私を選んでくれてありがとう」
それでも、あの日があったから、傑がプレゼントをしてくれたから、今この幸せな時がある。
「…それは私のセリフだよ」
眉を下げて笑った傑は、ぎゅっと抱きしめてくれた。私もその背に手を回し、温かな気持ちを感じながら目を閉じた。
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