五条 悟
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▼高専時代
「…ほんと、お前のこと〝嫌い〟だわ」
いつからか、よく私のことを〝嫌い〟だと言うようになった悟。
私はそう言う悟が嫌いだった。嫌いと言われた私よりも、泣きそうな辛そうな顔をして言うのだから。
「ほんとお前〝嫌い〟」
「知ってるー」
そして、また私のことを嫌いだと言った悟。隣にいた傑はそれを聞いて咳き込んだ。
「大丈夫?」
いきなり咳き込むものだから、心配して覗き込む。傑は息を整えながら、大丈夫だよと答えた。それよりも、とすぐに悟の方を向く。
「…悟、もしかしてナマエに〝嫌い〟って言ってる?」
「…そうだけど?」
その答えを聞いた傑は、大きなため息をついた。
「悟、それでナマエに通じると思ってるの?」
「…うっせーよ」
「本当に嫌われても知らないからね」
私のことなんてそっちのけで繰り広げられる悟と傑の会話。聞いていてもよく分からず、首を傾げるしか無かった。
「…何の話?」
「あぁ、悟はね、素直じゃないから君に好きって言えないんだよ」
びくっと肩を震わせた悟が、傑を思い切り蹴る。すんでのところでそれを避けた傑は、私に余裕の笑みを向けたまま言葉を続ける。
「嫌いの反対、なーんだ」
それだけ言って、傑は逃げるように去って言った。悟も追いかけようとしたが、2・3歩進んで止まってしまった。
傑の残した、まるでナゾナゾのような問いかけ。嫌いの反対、なんて。もう高校生だ、その意味ぐらい分かりきっている。
でもまさか、と思い悟を覗き込む。顔に手を当てているが、その隙間から覗く頬や耳は真っ赤に染まっていた。
「…こっち見るな」
「ご、ごめん」
慌てて悟に背を向けるも、すぐに「やっぱこっち見ろ」と肩に手を置かれ、またくるりと悟の方に向かされた。今度は赤い顔を隠そうともしていなかった。肩に触れられた手は少し震えている。
「〝好き〟なんだよ、ばーか」
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