夏油 傑
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▼百鬼夜行前
▼悲恋
高校の頃、肝試しをするべく遊び半分で入った廃墟で、訳も分からず得体の知れない何かに襲われたことがあった。
私も友人達もかすり傷程度で済んだ。そんな私達を助けてくれたのが、傑だった。
その格好良さに一目惚れした私は、ほぼ無理矢理だが連絡先を手に入れ、猛アタックした。
晴れて付き合うことになって、もう何年の付き合いになるだろうか。
「ナマエ、決行は1週間後だ」
「そっか…じゃあ、そろそろお別れだ」
呪術師から呪詛師になって追われる身になっても、私は傑に付いて行ったし、傑も私を側に置いてくれていた。でも、もうそれも終わりになる。
私は非呪術師だ。この世界では、傑には、選ばれなかった。傑の悲願には、私は必要ない。
「私は逃げるからさ…最後に殺してね」
「…分かった」
そんな悲しそうな顔しないでよ。私は傑になら殺されたって構わない。その先に、傑の望む未来があるのなら。
「傑、来世じゃ私を選んでね」
「もちろん、約束だ」
「他の女と付き合ってても、粘着してやるんだから」
「それは怖いね」
はは、と笑う傑に不意打ちで唇を近付ける。
軽く触れ離れようとすれば、手を引っ張られ、ぎゅっと強く抱き締められた。この温かさを忘れないように、と私も傑の背に手を回した。
年が暮れても、年が明けても、世界は変わらなかった。きっと傑はもう、いない。隣に彼のいない日々がこれから続いていく。
来世で会う時の目印でも決めていればよかった、なんてそうぼんやりと思った。