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▼「このあと、ふたりで」の数時間前
▼七海視点
「今日の飲み会、ミョウジ来るんだってさ。知ってるでしょ?」
もちろん、知っていた。その名前と飲み会に来るという話を聞いて、私も参加すると決めたのは、記憶に新しい。
だが、その五条さんの言葉に私は、YESともNOとも返さなかった。
「お前さ、早く告白しないと、ミョウジが誰かのものになっちゃっても知らないよ?」
告白、なんて青い言葉で片付けられない程、時が経ちすぎた。想いを告げる、なんて言っても美化し過ぎている気がする。
晒す、というのがしっくりと来るかもしれない。この胸の内にずっと燻っていた想いを。
「…そんなことしたって、私にもミョウジにも利になることなんてないですよ」
「利、ありまくりじゃん。お釣りが来るくらいだよ」
「そう思ってるのは五条さんだけですよ」
高専の頃、ミョウジと五条さんが話しているのを見た。そんなこと、後輩と先輩の間ではよくある話だ。
でも、いつの頃からか五条さんに向ける彼女の視線が変わって見えた。照れるような顔をして、優しい眼差しで五条さんを見て話していたのを、見た。
その頃から私の気持ちに感づいていた五条さんに、あれやこれやと唆されてきたが、その光景を見ていた私はついぞ信じることが出来なかった。いくら私の話をしていた、と言われても。
「あ、まだミョウジが僕のこと好きだと思ってる?」
その言葉にピクリとも眉が動く。それを見逃さなかった五条さんは、可笑しく笑っていた。
「ほんと鈍感だなぁ、ナナミは」
そう言った五条さんは、くるりと背を向ける。
「どのみちさ、後悔のないようにしなよ」
人はいつ居なくなるか分かんないんだからさ、と手をヒラヒラと振りながら、五条さんは去って行った。
最後に告げた言葉には、いつもの軽薄さはなくてその重みを知る。あの人もきっと。
きっと叶わないものだったとしても、この気持ちにいつかは区切りをつけなければならない。
なら、今日がそのチャンスなのではないか。
後悔の、ないように。
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