夏油 傑
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▼高専時代
「どれ乗る!?」
「絶叫系のやつに決まってんだろ!」
「…元気だこと」
「はしゃぎすぎて怪我しないようにね」
遊園地に着くや否や、悟とどれに乗るかの順路を見立てながらはしゃぐ。それを硝子と傑が、まるで子供を見守る保護者のように後ろから見ていた。
今日は私、硝子、悟、傑と遊園地にやってきた。なんでも傑がチケットを取ってくれたらしく、誘ってくれたのだ。
悟と絶叫系のアトラクションに乗りつつ、硝子や傑に合わせて、比較的大人しめのアトラクションにも乗った。そうこうしていたら、あっという間に時間は過ぎていって、日も沈んできた。
「あ、最後に観覧車乗ろうよ!夜景が綺麗なんだって!」
「こんなのに乗りたいなんて、まだまだお子様だなお前は」
「なら悟だけ乗らないんだね、オッケー!」
「乗りまーす!」
悟、硝子に続いて、私もゴンドラに乗り込もうとしたところだった。後ろから軽く手を引かれた。
振り向くと傑は困ったように笑って、ごめんね、と言った。
悟と硝子の乗ったゴンドラに乗れなかった私達は、必然的に次に来たゴンドラに乗り込むこととなる。
私の前に出た傑は先に乗り込み、こちらに手を差し出してくれた。そんなエスコートに、少し温かい気持ちになった。
その手を取って、私もゴンドラへと乗り込む。中は、傑と私の2人だけだ。
「ナマエ と2人きりになりたかったんだ」
2人して座席に腰掛けたと同時に、傑はそう言った。そしてもう一度、ごめんね、と謝った。
「ぜ、全然!今日あまり傑と話せてなかったもんね」
今日は悟とばかり先行して回っていたので、硝子や傑とゆっくり話す機会はあまりなかったのだ。
「…本当はね、この遊園地、君と2人で来ようと思ってたんだ」
「え、」
その時の記憶を辿る。傑に遊園地に誘われたとき、てっきりみんなで行こうというつもりで、言われたとばかり思っていた。でも確かにあの時、傑の手にはチケットが2枚だけ…だったかもしれない。
「ご、ごめんね」
「いいんだ、それは私の説明不足でもあるし。
…なんでナマエと来たかったか分かる?」
「うーん…遊びたかったから?」
まぁそれもそうだけど、と傑はくすくすと笑った。
「この観覧車にね、ナマエと乗りたかったんだ」
ゴンドラが少しずつ、上がっていく。遊園地の明かりやビルの光がきらきらと煌く外の風景を眺めながら、傑はそう言った。
「知ってる?この観覧車の1番上で告白したら、必ず成功するって話」
「傑、そんなの知ってるんだ」
「…こんな噂話にでも頼らないといけない程、余裕がないんだよ」
少しずつ、少しずつ上がっていく。もうすぐこの観覧車の1番上。こんな話をされて、期待してしまってもいいのだろうか。
トクントクンと速くなっていく鼓動が傑に聞こえてしまわないだろうか。もう、外の風景を見る余裕なんてない。
真っ直ぐにこちらを見つめる傑と目が合う。
「ナマエ、好きだよ」
ゴンドラから降りるときも、傑は先に降りて手をこちらに差し出してくれた。
でもその手は乗り込む時みたいに、離されることはなくて。
観覧車での一周を終え、降りた後出迎えたのは、悟と硝子のニヤニヤとした顔だった。