五条 悟
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「あれ?ナマエじゃん」
「げ」
日も沈みきった頃、わずかな家の光と外灯が道を照らす中、やたらと背の高い男性が前から歩いてくるな、と思っていた。
少しビビりながらもお互いにすれ違うという最中、見知った声が聞こえ驚いた。
「げ、とはひどいな〜」
ケラケラと笑う、久しぶりに出会った恋人。
本当は会いたかったけれど、今は会いたくなかった。履き慣れたスウェットにサンダルと、とてもラフな格好の今は。
久しぶりに会うならもっと綺麗に、可愛い格好で出会いたかった。
悟はきっと気にも留めやしないだろうけど。
「どうしたの?こんなところで」
「この先に廃ビルがあったでしょ?そこでちょっとお仕事」
「そっか、お疲れ様」
「ありがと。ナマエは…犬の散歩?」
「うん、そう」
悟の足元で尻尾を左右に振り、甘えた声を出しているのは、友達から旅行に行くから預かって欲しいと頼まれた犬だ。
私でさえ慣れてもらうのに時間がかかったというのに、この男は出会ったばかりの犬までも虜にするのか。さすが恐るべし自称最強の男。
悟は屈んで、「おー!ヨシヨシ」と言って犬を撫でている。どちらもご機嫌そうな様子に、微笑ましくなる。
「ナマエも、この子みたいにもっと素直だったらいいのにな〜」
「…わりと素直な方だと思うんですけど?」
「本当に〜?」
悟は「なら、お手」と犬を撫でている手とは逆の、空いた手をこちらに差し出す。少し不本意ながらも「…ワン」と言って、その手に自分の手を置いた。
「よく出来ました」
そう言った悟は立ち上がり、そのまま私の手をするりと絡め取った。恋人繋ぎだ。
「あまーいご褒美、あげないとね」
「ご褒美?」
「…ね、このまま泊まってっても良い?」
甘いと言うから、ケーキでも買ってくれるのかと思ったが、そんなことはなかった。
それでも、まだ一緒に居られるのだと嬉しくて、返事の代わりに繋いだ手にぎゅっと力を込めた。
犬がこちらを恨めしそうに見てくる中、悟は「素直でよろしい」と言って、優しく妖しく微笑んだ。