夏油 傑
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▼高専時代
「ナマエ、好きだよ」
そう言った夏油くんは、優しく私を抱き締めた。
トクントクンと聞こえる鼓動は、私のものか夏油くんのものか分からない程に混じり合って。
「君が、君だけが、好きなんだ」
そっと離れていく体温に寂しさを感じるも、すぐに夏油くんの熱い手が私の頬を滑る。顎に手を添えられ、少し上を向かされる。
熱のこもった目でこちらを見る夏油くん。少しの間見つめ合った後、閉じられた瞳と近付く距離に私も目を閉じた。
ピピピピ……
目覚ましのアラーム音が鳴り響く。カーテンの隙間を縫って窓から差し込む光が眩しい。
飛び込んでくる現実に、先程見たものは夢だと知る。
「うわーっ!」
枕に顔を埋め、思い切り叫んだ。
と、とんでもない夢を見てしまった!
以前から、夏油くんは大人びていて格好いいなと思うことはあったが、こんなあからさまな夢を見てしまうなんて、意識せざるを得ない。
そして、まともに顔が見られないかもしれない…という時に限って組手があるのだ。
それに重ねて、案の定夏油くんとペアを組まされ、挙動不審だった私は夏油くんに「身が入ってないよ」と怒られてしまった。情けない。
「…で、何があったのよ」
「な、なんのことでしょう」
「傑も心配してたわよ」
休憩スペースでの硝子との談笑中、出たその名前にピクリと肩が震える。それを見た硝子は、ニヤニヤとした顔付きでこちらを見ていた。
観念して洗いざらい話せば、硝子はなんだ夢の話かとダルそうな様子を見せながらも、適度に相槌を打ちながら聞いてくれた。
「あながち間違いじゃな…
「硝子」
全て話し終えたあと、硝子が口を開いた途端に聞こえた、硝子ではない別の声。
固まってしまった首をなんとか動かし、見た先には夏油くんがいた。
「余計なこと言わなくていいから」
「はーい。後は頑張ってー」
そう言って硝子は、背を見せヒラヒラと手を振りながら行ってしまった。待って、私を置いていかないで欲しい。
「じ、じゃあ私も…」
「待って」
私も席を立とうとする。でも捕らえられた腕が、この場から離れることを許してくれない。
大人しく座り直した私の手に、夢と同じような熱い手が触れる。するりと優しく滑り、そして私の指をゆっくりと絡め取っていく。
「夢の中の私とはいえ、妬けるね」
絡め取られた指と聞かれていた夢の話に、カッと体が熱くなる。でも私以上に夏油くんの手は、燃えるように熱い。
「…夏油くん、熱いよ」
「好きな女の子に触れてるんだ、仕方ないよ」
そんな熱い手とは反対に、チラリと見た顔は涼しげに見える。
私が何を言いたいのか感じ取ったのか、これでもいっぱいいっぱいなんだよ、と夏油くんは困ったように笑った。