五条 悟
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「いつになったら、また僕に奢らせてくれるの?」
そう言いながら五条先輩は、目の前に並べられたケーキを次から次へと口へ運んでいく。今日は、スイーツビュッフェに連れて来てくれたのだ。
「先輩ですので、奢ってもらうわけには…」
「本音は?」
「借りを作りたくない、後が怖い」
「言うねー」
初めて食事に誘われて奢ってもらった時、後日
厄介な任務やら雑用やらをこれでもかと押し付けられた。
それからも、こうやって何度か食事に誘われてはいるが、割り勘という事にしてもらっている。
「あと、夫婦…ましてや恋人でもないので、奢ってもらうには気が引けるんです」
「真面目だね」
ならさ、と続いた言葉。
「恋人になったらいいじゃん」
「誰が」
「君が」
「誰と」
「…俺と」
肘を机に突き、手の上に顎を乗せて、ニヤリとこちらを見る五条先輩。途端にうるさく鳴り始める心臓の音。そんな、まさか。
「いや、だって五条先輩そんな…」
「そう?結構アプローチしてたんだけどなぁ」
「いつ?」
「今みたいに。何度も食事に誘ってるんだけどね」
確かに何度も誘われて、食事を共にすることは多々あった。しかも、どこへ行っても五条先輩の連れて行ってくれるところは、ハズレはなく美味しいところばかりで、思わず二つ返事で受けていた。でも。
「他の人に声を掛けても来てくれないから、私を誘ってるのかと思ってました…」
「ひど!僕をなんだと思ってるのさ!」
五条先輩はぶつぶつと文句を言いながら、ケーキを1つフォークで一口分切り分け、それを刺してこちらに向けて来た。
「いいんですか、それ。最後の1つだったじゃないですか」
向けられたのは、この店1番人気のザッハトルテ。
最後の1つを取ろうとしたところ、若い女性と被ったが、その美貌を活かして譲ってもらっていた。そしてその時隣にいた私に、突き刺さるような視線を向けられたのは記憶に新しい。
「ケーキはまた追加されるだろうけどさ、ナマエを口説くのは今しかないわけじゃん。
…それで、どうする?」
何がと言わずとも分かっている。彼女になるか否かだ。
「…考えさせてください」
そう言って私は、目の前に差し出されたザッハトルテを口に含んだ。
考えさせてください、なんて言ったものの、五条先輩からの所謂「アーン」を受け入れた時点で決まったようなものだ。
それを知ってか知らずか、五条先輩は満足そうに笑っていた。