夏油 傑
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▼先生と生徒パロ
▼夏油と五条が先生してます
私の学校には、いわゆるイケメン教師が2人いる。バレンタインデーには、多くの女子生徒が2人に押しかけ、まるで百貨店の催事場のように人で溢れかえる時もある。
かく言う私も、イケメン教師の1人、生徒に親身で優しい夏油先生に、勇気を出してチョコレートをあげよう…と先生を探すも、すでに両手は女子達のチョコレートで塞がっていた。それに、まだ女子生徒に囲まれ何やら話をしていた。
「それ渡さないの?」
もう夏油先生に渡すのを諦めようかな、と踵を返そうとした時、声をかけられ心臓が飛び跳ねる。
「ご、五条先生!」
振り返れば、もう1人のイケメン教師、兎にも角にも顔が良い五条先生がいた。
五条先生も夏油先生に負けず劣らず、両手にたくさんのチョコレートを抱えている。
「傑に渡さないなら、僕が食べてあげよっか」
チョコレートを渡す人の名前なんて口に出していない。それなのに五条先生から出た名前。
きっと、物陰から夏油先生の様子を伺っていたのを見られていたんだろう。それに少し恥ずかしくなる。
「で、でも先生、もう両手にいっぱい持ってるじゃないですか」
「いくらあっても困んないよ。甘いもの好きだから」
そう言ってニコリと笑った五条先生。
自分のためでも友達のためでもなく、特別な人のために買ったチョコレート。綺麗にラッピングもしてもらった。
家に帰って自分で食べるよりも、どうせなら誰かに食べてもらった方が良い、と先生に渡そうとした時だった。
「ダメ」
背後から伸びて来た手に、チョコレートを取られてしまった。手の先を視線で辿ると、そこには夏油先生がいた。
「これ、私のなんでしょ?」
さっきまで女子生徒と話していて、向こうにいたはずだ。突然現れた夏油先生に、返事出来ずに固まっていると「あれ、違った?」と夏油先生は五条先生に目配せしていた。
「あー、合ってる合ってる」
「そ、よかった」
「僕に感謝しろよ〜引き止めてやったんだから」
「やだね、これ貰おうとしてただろう」
「バレたか」
舌を出して戯けた五条先生は、私に向き直り「今度こそ渡しなよ、後が面倒臭いから」と言い、そのまま去って行った。
残された夏油先生と私。先に声を出したのは、夏油先生だった。
「これ、本当に貰っても良い?」
そう言って掲げたのは、先程私の手から取っていったチョコレート。
「は、はい!先生にあげるつもりのものだったので…受け取って頂けると…」
「ありがとう、嬉しい。君からのチョコレートを1番楽しみにしてたんだよ」
貰えるか分からなかったんだけどね、と頬をかいた夏油先生は少し気恥ずかしそうだった。
「…本命、だったりしない?」
呟くような小さな声。それでも、私の耳には届いた。
だけど、はい、と頷けるほどの勇気は持ち合わせていなかった。
夏油先生からの言葉に、もしかしたら、なんて淡い期待を抱いてしまいそうになる。でも、私と夏油先生は、生徒と先生だ。
「ごめん、ごめん。困らせてしまったね」
返答に詰まっていると、夏油先生はそう言って、優しく頭を撫でてくれた。と同時にやっぱり冗談だったんだな、と分かってはいたが落胆した。
でも、次に夏油先生から発せられた言葉で、沈んだ気分も瞬く間に吹っ飛んでいくこととなる。
「ね、卒業したら、私に本命を頂戴。…私も君に本命のお返しをさせて欲しい」
うんと甘いお返しを用意するから、と真っ直ぐに私を見つめる夏油先生。
正直、夏油先生が現れたぐらいから、私はいっぱいいっぱいだった。それに加え、夏油先生からの数々の言葉。
脳も心もキャパオーバーで、私はただただ全力で頷き返すしかなかった。卒業まで、あと。