嫌よいやよも、 / 一氏
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数日経っても、一氏の様子は何も変わらなかった。あの時のは、私の勘違いだったんだろうか。
「おーい、ミョウジ」
廊下を歩いていると、後ろから声をかけられた。嫌な予感しかせぇへん。
『…先生、なんですか?』
「次の授業の資料、資料室から取ってきてくれん?」
『なんで私なんですか?』
「そこにおったから!」
『いやいや他にもおりますやん!』
ため息をつきながら、渋々承諾すると先生は満面の笑みを残して去って行った。
『あ、小春ちゃん!』
「なんやどないしたん?ナマエちゃん」
『ちょお資料運ぶの手伝ってくれへん?』
「あら、あたしも先生に雑用任されてんねん。ユウくんに言うてみ」
『分かった!ごめんな小春ちゃん!』
「…お膳立てしといたでユウくん」
一氏は教室で何やら真剣な顔つきをしていた。
話かけにくいけど、こっちもそう言うとられん。
『ひ、一氏…?』
声をかければ、こっちをみた瞬間に目を見開いて少し慌てた様子を見せた。
「お、おぉう!な、なんやねん」
『資料運ぶん手伝ってくれん?』
「嫌や」
真顔の中の真顔、これでもかっちゅー本間に真顔で答えられた。
『即答やな!言う思うたわ!
あー…あそこで暇そうな中山くんにでも頼むわ。んな』
「……う」
『ん?』
「手伝ったるっちゅーねん」
資料室に向かうも、何この無言。辛いわ。
普段ならここで、ぶつぶつ文句を言うやろうに文句どころか言葉一つ発さへん。調子狂うわ。
『ひ、一氏さん…?行きますよ?』
「なんでサン付けやねん。……一つ聞いてえぇか?」
『なん?』
「中山と…付き合っとん?」
『は?』
今度は私が真顔の中の真顔で返したったけど、一氏は私の顔を見ようとしない。
「いや前の体育ん時…さ。仲良さげやったやん」
『…付き合っとらん』
「え?」
『付き合っとらんっちゅーねん!行くで!』
一氏の言い方的に、この前の体育の光景を見て嫉妬してます、って感じやん。いや、でも私の自惚れか。
でも何か自惚れでも嬉しくて、綻ぶ顔を見せんように私はどんどんと先を歩いた。
「そっか…良かったわ」
そう一氏が呟いてたなんて知らずに。
自惚れだとしても
(分かったよ。私は君に惚れてるみたいだ)