Eternal / 跡部
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あれから幾度と思い出させようとしたけど、跡部くんには全然思い出すような気配は無かった。
あの頃の事は、跡部くんにとっては何気ないこと。
そうだよね。私だけだ、あの頃を大切に思ってるのは。
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あの頃の私は、すぐに引っ越すからと保育所にも入れてもらえず、家には親は仕事で居ない。
家から出ないようにと言われていたけど、退屈で退屈でよく公園で1人で遊んでいた。
ある日のことだった。
いつものように公園に行くと、家族連れがすべり台で遊んでいた。それを見た私はなんだか寂しい気持ちになって、ブランコに座って1人泣いていた。
「どうした?」
『ひっ…ぐすっ』
「どこかいたいのか?」
急に現れた私を心配する男の子に、私は言葉を出さず、首を横に振った。
その後も泣き続け、何も言わない私に、男の子は私が泣き止むまで、隣のブランコに乗っていた。
落ち着いた私は、ゆっくり男の子に喋り始めた。
「ぐすっ…あ、あのね。私の家、誰もいないの。誰も遊んでくれないの」
『…じゃあ、俺が遊んでやる!』
それを聞いた私は、さっきまで泣いていたのが感じられないくらい、笑顔になったことだろう。その男の子は、「あとべ けいご」くんと言った。
私は毎日公園に居て、時折来るけいごくんと遊んでいた。その中で、あの約束をしたんだ。
私は、けいごくんと遊ぶのが、唯一楽しい時間だった。けいごくんの来ない日は、寂しくて1日中沈んでいた時もあるぐらい。
そして何ヶ月か先のはずの引っ越しが、急に明日に決まった。
引っ越しの準備で公園にも行けず、けいごくんに別れを告げることも出来ず、私はこの街を去った。
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『ねぇ跡部くん、子供の頃楽しかった?』
「なんだ突然」
『なんとなく』
「なんだそれ。…忘れたな」
『じゃあ、今は?』
「楽しいぜ。お前、飽きないしな」
『最後のは腑に落ちないけど…良かった!』
跡部くんが今を楽しいと感じたているなら、昔のことを無理に思い出させる必要はない。
もしかしたら、私と遊ぶのだって嫌々だったかもしれない。なら、もう無理に聞かない。
あの思い出は、私の心の中に。
昔より今を
(楽しんでいるなら、それで良い)