嫌よいやよも、 / 一氏
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『行くでえぇ!』
「来いやぁああ!ミョウジ!」
今は体育の時間。今日はテニスだ。
私と一氏は、白熱した戦いを繰り広げている。小春ちゃんは傍観者。
現役の一氏に比べたら、私はまだまだだけど、少しは打てる。ま、一氏も加減してくれてるから尚更なんだけど。
「ふっ…まだまだだね」
『あかん、どっかで聞いたことあるわー』
「俺のマッチポイントや!行くでー!」
『止める!』
なんて言いながらも、一氏が強烈サーブを打ってきて取れなかった。
『せこいぞ!現役!』
「うっさいわ!まだ加減したわ!」
『あっかん疲れた…ちょっと休むわ。相手ありがとな、一氏』
「お、おう…」
太陽がガンガンと照りつける中、一氏とのテニス。体育であんなに動いたのは久しぶりで、流石に疲れた。
小さな木陰に座って皆の様子を見とると、一氏は小春ちゃんとダブルスを組んで、皆を笑わせとった。
へぇー…、一氏テニスしとる姿中々格好えぇやん。
ふとそう思った自分が恥ずかしくて、邪念を払うように首を振り、また二人のお笑いダブルスに目を向けた。
『ははっ。何やってんねん』
「ほんまな」
話をかけられた方向をむくと、同じクラスの中山くんが居た。
『おう中山くんやん。どないしたん?』
「いや俺も涼もう思うて」
そう言って隣に腰をおろした中山くんと皆の様子を見ながら、色々喋っとった。
なんか一氏には、ガン飛ばされとった気がするけど…。
結局、体育の時間が終わるまで中山くんとずっと喋っとった。
「ナマエちゃん!」
『おー小春ちゃん』
「ユウくん見てない?」
『あ、水道ん所行きよった気がする』
「ほな、タオル渡しといてくれん?預かったままやってん。しかも私、鍵当番なんよ」
『了解した』
小春ちゃんからタオルを受け取って、水道の所に行くと、頭から水をかぶってる一氏が居た。
『一氏ー』
「………」
『小春ちゃんからタオル』
それを聞いて、すぐに蛇口の水を止めて私の方を向いた。まぁ一氏言うても、顔は整っとるから…その…水を滴らすと言うのは、中々心臓に悪い。
「中山…」
『ん?』
私の手元にあったタオルを取って、髪の毛を拭きながら小さな声で呟いた。
「中山と付き合っとん…?」
『え、ごめん聞こえへん』
「なんもない」
『なんやねん』
「耳つんぼ」
『あんたの声が小さいねん!』
その後はいつも通りの言い合いをしながら、教室に戻った。
ただ、さっきの一氏の様子だけが気がかりだった。
魅了させられた
(いつもと違う君に)