着々と、確実に / 財前
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あの昼休み以来、ミョウジとは甘味処に寄るときだけやなく、学校でもよく話すようになった。でも以前より、ミョウジから洲藤の話はせんようになった。
「財前」
「ん、なんや洲藤」
「今日、部活前にちょっと時間えぇか?」
「別に構わんけど…」
「すまんな、ほな」
また放課後、と言って洲藤は去って行った。
いつもと雰囲気違うし、何やら真剣な様子やった。
ミョウジといい、洲藤といい…あの2人なんかあったんとちゃうん。
俺にとって、悪い方向へと転ぶ予感しかせんわ。
放課後教室で待っとったら、掃除当番を終えた洲藤が帰ってきた。皆が教室を出るん見計らって、洲藤は話し出した。
「ミョウジと…付き合っとん?」
相談があるんや、の言葉の次はそれやった。
最近俺がミョウジと仲がえぇんを見て、気になったみたいや。あーあ、嫌な予感が当たってもたわ。
「いや…付き合っとらんで」
「ほんまか!」
そう心から安心したような洲藤の様子を見て、俺は確信した。
「洲藤…、ミョウジのこと好きなん?」
「あーっと……、うん」
前、洲藤が言うとった「気になっとる奴」ってミョウジの事やったんやな。
なんや2人共、最初から両想いやん。
俺が、どうこうする必要なんて無かったやん。
「財前は…ミョウジのこと、どう思っとん…?」
「別に、ただ仲えぇだけや」
洲藤の顔を見てそう言えない俺は、窓を向きながら言った。…そう言うしかなかった。
2人共最初っから両想いやのに、俺の勝手で邪魔する訳にはいかんし。
やけど、それだけ「ただ仲えぇだけ」を言うただけやのに、俺の心はすごく痛んだ。
洲藤から見えないところに作った握り拳に、ぎゅっと力を込めた。
全部、最初から
(俺の出番は無かったんや)