着々と、確実に / 財前
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俺とミョウジは、学校ではあまり喋らん。
唯一喋るとしたら、いつもの甘味処に寄るとき。
やけど今日は珍しく、昼休みにミョウジから話しかけてきて、俺らは屋上で飯を食べることになった。
「で、急にどないしたん?珍しいやん」
『いやー、それがその…』
口ごもるミョウジが、やっとの事言おうとしたとき屋上の扉がバンッと開いた。
「財前おるかー?」
「…タイミング悪すぎやろ」
「おるやん!返事せんかいや」
白石部長が来た思うたら、後ろから謙也さんも来た。
「なんスか先輩ら」
「いやなぁ、謙也が辞書貸してやって」
「頼むわ、財前!」
手を合わせて拝むように頼んでくる謙也さんには悪いけど、昨日ちょうど持って帰ってもたんやな。
「すんません、昨日持って帰りました」
「はぁ!?最悪や……」
落ち込む謙也さんをよそに弁当を食い続けていると、隣におるミョウジが口を開いた。
『あの…、私の貸しましょうか?』
「ほんまに!?頼むわ!」
ミョウジの手を取って、「ありがとうな」「どこぞの財前とは違うわ!」「女神や」なんて言いやがっとる。
それにしても手、離せや。
「ミョウジ、はよ辞書取りに行かな昼休み終わるで」
『あ、そやな!んじゃ、取ってきます!』
屋上からミョウジが出て行った瞬間に、部長が話しかけてきた。
「珍しいな。お前があんな可愛いらしい女の子とおるなんて」
「…ちょっとした用ッスわ」
さすが部長や。鋭すぎて怖いわ。それに比べて…
「なんの話しとん?」
「…はっ」
「なんやお前!先輩に向かって嘲笑いて!」
「いつものことやん」
「うっさいわ白石!」
いつもと変わりないやり取りの中で、ふと屋上の扉に目がいった。そこにはミョウジがぼーっと突っ立っとった。
「なにしょん?」
なんでもない、と言って駆け寄って来たミョウジは、ほんのり頬が赤かった。
「辞書、ありがとうな!ミョウジさん」
『いえ!』
ほなまた、と去って先輩らは行くんかと思うたら部長だけが戻って来た。
「まぁ頑張りや」
言われんでも分かっとるわ。やけど、こんな不毛な恋をどう頑張れと言うんやろう。
嫉妬するにも
(俺の立場なんて)