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▼エピローグ後時空
満天の星空が広がる、波の音しか聞こえない静かな海辺に、私とマキシマさんは居た。
私は純白のドレスを、マキシマさんはタキシードを着ていた。
「すまんな、盛大に出来なくて」
「いえ、これだけで…マキシマさんが居てくれるだけで充分です」
これはいわゆる結婚式だ。追われる身であるから表立ってすることは出来ないが2人だけのなら、と配慮してくれて、この場を設けてくれたのだ。
「K´に祝辞でも読ませれば良かったか」
「ふふ、読んでくれませんよ、きっと」
2人で顔を見合わせ笑い合う。そして、そっと私の左手をマキシマさんが取った。
それだけなのに、なんだか涙が込み上げてくる。
「…私は、健やかなるときも病めるときも、富めるときも貧しいときも、ナマエを生涯の妻として愛し、敬い、いつくしむことを誓います」
「私は、健やかなるときも病めるときも、富めるときも貧しいときも、マキシマを生涯の夫として愛し、敬い、いつくしむことを誓います」
私達はお互いに、左手の薬指に指輪をはめ合い、指輪交換をした。
直後に見上げたマキシマさんの顔は、とてもとても優しい顔をしていて、泣くまいと耐えていた涙はボロボロとこぼれ落ちた。
「…マキシマさん、━━━━」
「…という夢を見たんです」
私は夢で見たマキシマさんと2人だけの結婚式の様子を、マキシマさん本人に説明していた。
どうしてこうなったかというと、あんな夢を見てしまい、なんだか恥ずかしくてマキシマさんを避けてしまっていたのだが、案の定本人にいらぬ心配を掛けてしまっていたので、観念して言うことにしたのだ。
ざっくりと説明はしたが、自分の夢の話をするのはとても恥ずかしかった。ましてや想い人との未来を描いた夢の話だ。チラッとマキシマさんの様子を伺うと、何故だか少し考え込んでいた。
「…実はな、俺も似たような夢を見たんだ」
「え?」
マキシマさんも見た夢の話をしてくれた。本当に似たような、というか私が話した夢とそっくりそのまま一緒だった。
「とんでもない偶然だな」
「そ、そうですね」
「…ナギあたりがなんかしたか?」
「それは無いとは思うんですけど…」
ナギさんが私達2人だけにあの夢を見せる理由が分からない、もしそんなことをしていたとしても、今のナギさんならきっとその理由をお話してくれると思うから。
「なら、俺達2人の願望があまりにも強くて、夢に現れたのかもな」
ハハっと笑うマキシマさん。結婚式は上げられなくても、生涯側に居られればと思っていた。俺達2人の、ということはマキシマさんも少なからず、色々とそう思ってくれていたのだろうか。
「…ナマエ、結婚式…上げるか?」
「え!?」
「なんだ、嫌か?」
「い、いえ!そういう訳じゃ…!」
「…いい機会だ。夢とそっくりそのまま同じの、2人だけの結婚式を上げよう」
そう言って、マキシマさんはそっと私の左手を取った。昨夜見た夢と重なって、また涙が込み上げて来そうになる。
「……マキシマさん、私は…幸せです」
今度は言えた。夢の中で声にはならなかった言葉。
それを聞いたマキシマさんは、夢と同じように、今にも泣きそうな顔で、でも優しく微笑んでくれた。