ビリー・カーン
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▼ビリー視点
「ビリーさん、手怪我してますよ!」
お嬢にそう言われるまで、全然気が付かなかった。見てみると、左手の小指に切り傷が出来ていて少し血が滲んでいた。痛みはない。
どこかで引っ掛けたのだろう。よく気付いたな、と言えば洗い立ての白いタオルに血が付いている箇所を見せられた。さっき俺が干したものだ。
「悪い、洗い直さねぇとな」
「まずは手当てが先です!」
お嬢に手を引かれ、居間で手当てを受ける。流石マネージャーと言ったところか、手際が良い。幸い、深い傷でもなかったから簡単な処置で済んだ。
「お嬢、ありがとな」
「いえ…」
「どうかしたか?」
俺の左手を見つめたまま、固まっているお嬢。何か思い付いたような顔をしたと思えば、徐に髪を結っているピンクのリボンをほどき始める。
そのリボンを俺の怪我をした左手の小指に結んだと思えば、その反対の端を同じく自分の左手の小指に結ぼうとしている。たが、片手で上手く結べるはずもなく。
「すみません、これ結んでもらえませんか?」
「あ、あぁ…」
何がしたいのかまったく分からず、頭に疑問符を浮かべながらも、言われるがままにお嬢の小指にリボンを結ぶ。
「で、なんなんだ、これ」
「ふふ、運命の赤い糸…ですよ」
これはピンク色ですけどね、と俺に結ばせたリボンを見せながら、照れるように笑うお嬢。
怪我をした自分の小指にも結ばれたリボンに目を落として、何をされていたのかやっとのこと理解したと途端に顔が熱くなる。
本当に勘弁して欲しい。なんて可愛いことをしてくれるのだろうか。
俺の左手から、繋がっているリボンを辿るようにして、お嬢の手を引き、そっと唇を重ねる。
恥ずかしながらこれが、何も言葉が出ない俺の精一杯だった。