ビリー・カーン
▼ Name change!
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「お嬢」
そう呼ばれることに違和感を感じるようになったのは、いつからだっただろうか。
晴れてそういう仲になった後も続いたその呼び方が気になって、一度名前で呼んで欲しいという話をしたことがある。
その時は理由を熱く語られ、頑なに断られてしまった。
それでも一度だけでも名前を呼んで欲しい。
私がビリーさんのことを呼び捨てにすれば、呼んでくれたりするのだろうか。
「ビリー…」
「呼んだか?」
曲がり角から顔を出したのは、つい口をついて出た名前の人だった。
「あ、いえ、呼んでません!空耳ではないですか!?」
「うーん、確かにお嬢に呼ばれたと思ったんだが」
まさか本人に聞かれてるとは思わず、咄嗟に否定する。ビリーさんは怪訝な顔をしているけど、なんとか乗り切れそうだ。
「あ、まだ洗濯物干すのあるんだろ?引き止めて悪かったな」
「いえ!お気になさらず」
「じゃあまた後で」
また後で、その言葉に少し暖かい気持ちになりながら踵を返す。
「ナマエ」
突然、優しい声で呼ばれた自分の名前。
驚いた声も出ないまま、振り返った時にはもう唇は塞がれていた。
触れるだけのキスに名残惜しさを感じながらも見たビリーさんの顔は、してやったりと満足そうな顔をしている中、私はただ顔を真っ赤にすることしか出来なかった。
こんな時だけ名前で呼ぶなんて。
ずるいですよ、ビリーさん。